WORKS オムロン株式会社 様
「馴染む」から「強みの発揮」へ -中途入社者の早期活躍にむけた仕組みづくりへの転換-

オムロン エキスパートリンク株式会社
人財開発センタ 人財育成部 教育推進課 担当係長
忍海邊 実子(おしんべ・じつこ)様

●会社プロフィール:
<オムロン 株式会社>
制御機器・電子部品・社会システム・ヘルスケアなど、多岐にわたる事業を約120の国と地域で展開しています。

創業以来、「事業を通じて、よりよい社会づくりに貢献すること」という使命のもと、
世に先駆けてイノベーションを生み出すという「ソーシャルニーズの創造」へのチャレンジを続けています。

<オムロン エキスパートリンク株式会社>
オムロングループ国内の人事・総務・経理業務及び人材サービスを行う。

高度な専門性をもった人財と機能を集約し、グループの事業成長のための基盤構築により、ガバナンスの強化と生産性の向上を進めています。

●導入サービス:
・中途入社者向けフォロー研修

※企業名、担当者肩書き、プログラム名は導入当時のものです。

2.5倍。年間100名採用から年間250名採用へ
成果を出すための受け入れ環境づくり

シェイク:以前より中途入社者向け研修を導入されていらっしゃいましたが、 2017年をきっかけに今までと位置づけの違う内容に変更されたと伺っております。 その背景を教えていただけますでしょうか?

忍海邊様: オムロングループではもともと中途入社者は年間100名を超えるかどうかの人数規模で、今と比べると既存の事業の退職者をカバーするという補充の位置づけでした。 その中で中途入社者に「オムロンの考え方や姿勢を理解し定着してもらう」という、いわば会社に「馴染む」ことを目的に置いた研修でした。

それが、2017年からスタートとした中期経営計画では、10年間の長期ビジョンの達成に向けた成長ステージとなり、年間250名ほどの採用を増やすことになりました。人財採用戦略としては、ロボット、AI、IoTの知識・技術など、オートメーション事業を強化していくためにオムロングループの中で今までにない能力やスキルを持った方々に入社いただく必要がありました。

新しい知見を存分に発揮し活躍してもらうためには、入社者の方々への働きかけだけではなく、受け入れる組織側にも馴染ませるための入社者育成から「新しい知見をもった方が活躍できるため『支援』」というスタンスをもってもらう必要がありました。それらの研修プログラムを新たに開発したいということでシェイクさんにお願いしたというのが背景です。

シェイク: その中で研修のゴールとして

1.この組織で自分が貢献していける、やっていけるという居場所づくり
2.職場で影響力を発揮していくという意識への転換
3.横のつながりを意識したコミュニティ化

の3点を意識して実施してきた認識ですが、 忍海邊様としてはどのようにお考えでしょうか?

忍海邊様: 今挙げていただいた3点に注力いただく前提として大事にしていたことは、いかに「ご自身のこれまでの経験・知識を早期から発揮し活躍につなげていくか」です。

今まで、オムロンにおいて、中途入社者の方が活躍するまでにかかっている時間はおよそ1年でした。人によっては、2年以上経ってもなかなか活躍できないというケースもありました。中期経営計画の達成のためには、半年以内に活躍できている、あるいはご自身が自信を持って活躍できていると自覚いただくことが大事だと考えております。

そうすることで今の風土に「馴染む」だけではなく、新しい風土を中途入社者が作っていく。何かしらの良い影響が、職場、あるいは事業に反映されていってほしいという考えがありました。

「強み」と「期待」の認識、「横のつながり」がもたらす効果

シェイク: 今回特に御社からのご要望を受け、ご自身の「強み」を認識いただくことに注力してきましたが、「強み」の認識がどのように本人や組織に良い影響を及ぼしているとお考えでしょうか?

忍海邊様:大きく二つあり、一つ目には、モチベーションの再点火や入社動機の再認識ができ、職場に戻って「強み」を活かすために具体的に何ができるか、どう進めるかの行動が明確化されてきていると思います。

入社した当初、あるいは選考のタイミングで、「入社した後はこのように活躍したい」と考え強い覚悟を持って入社されても、入社後、実際の実務でいろいろな壁やプレッシャーにぶつかり、働く上でのやりづらさが生まれます。そうすると、いつの間にかやりたいことがぼやけ、目の前のことをこなすことに必死になり、「やり方に馴染まなければ」という囚われや葛藤となってしまいます。

そのようなタイミングで研修に参加し自身の「強み」を改めて意識することで、モチベーションの再点火や入社動機の再認識、本来自分が実現したいことへの目的に立ち戻れる効果があります。

二つ目には、上司やトップ経営層から研修中に入社者に対する「期待」を受け取る時間を設け、研修後には上司と対話する時間を設けています。「強み」を活かし期待される活躍をするために必要な支援を再度話し合えるプロセスは、上司と入社者の関係性を深める良い機会を生んでいると思います。

シェイク:より中途入社者の方が組織で成果を上げやすくするために、御社と一緒に細部にわたりこだわって設計をしてまいりました。

例えば当初予定がなかった社長メッセージを冒頭に入れ、社長自ら期待を伝え入社者と対話ができる時間を設けたり、一方で、職場が期待している具体的な内容については上司から手紙という形でお伝えいただくなど、できるだけ自分が何を期待されているか、何をするべきかを明確にしてきたと感じております。

更に、多くの中途入社者が互いに接点を持つ機会となるよう「横のつながり」には特にこだわって企画されてきたと思います。社内において「横のつながり」が成果に直結しやすい印象があるということでしょうか?

忍海邊様:中途入社者の方は、ほとんどの方が前職での人脈が一旦リセットされ、特に社内の人脈形成は一からになります。組織が大きく役割も細分化されており、自分の所属する組織以外との交流は自ら作れる機会が少ないのが現状です。どこの誰がどんな仕事をしているか、どこの組織と連携すれば課題の解決につながるかなど、グループのメリットや横連携を意識してもらえるよう、まずは研修で集まった受講者全員が知り合い、どんな組織で仕事をしているかを知ってもらえるよう工夫しています。

更に、気持ちの部分で同期入社がいるという安心感が及ぼすプラスの影響は大きいと感じています。年齢や立場は違っても自分と同じような課題や悩みを抱えているということでお互いに共感できる場があるというのは、プレッシャーから解放される瞬間でもあるととらえています。

間接的なメリットにはなりますが、ポジティブな連携意識ができることで、
 「ぜひこのプロジェクトを一緒に進めていきましょう」
 「この技術について知りたかったので今度、担当者を紹介して欲しい」
 「この組織とあの組織で連携すればもっといい提案ができそう」
という声が研修中にあがり、成果につながっていくきっかけも生まれています。

「半年以内に自分の強みを活かせている」という自己評価が生まれる数々の施策

シェイク:今回の取り組みで一定数の成果が上がっているとお伺いしてます。具体的にどのような成果が上がっているのでしょうか?

忍海邊様:年間の採用人数が2.5倍というのは、我々も今まで経験のないチャレンジでしたが、さらに早期の定着・活躍として「半年以内に自分の強みを活かせている」という方が2016年度までは4割程度だったのが、新しい施策を実施した2017年度からは6割を超えるようになりました。

シェイク: 4割から6割というのはかなりの飛躍だと思いますが、研修以外に実施されていた施策は何かございますか?

忍海邊様:早期の活躍につなげる施策として、入社間もない時期に本人が自己開示しやすく経験を発揮しやすい環境にできるか=「心理的安全性」を生み出せるか、を重視し以下のような施策を行っています。

1. 入社時研修:入社手続き・制度紹介だけではなく活躍にむけた意識の醸成
2.フォロー窓口:配属部門メンバー以外にも気軽に相談できる入社者フォロー担当を設置
3.受け入れ組織(部門長・指導者)向け研修
4.オンボーディングシステム導入: ITを活用した入社者の受入れから活躍へのプロセスサポート(面談実施時期の告知、上司・入社者双方へのアドバイスメッセージ配信など)
5.アンケート(入社~半年間):モチベーションの変化を確認したり、必要なフォローをヒアリング
6.フォロー研修:入社半年以内にシェイクの研修を実施。強みと期待の認識、同期メンバーとのつながりによるモチベーションの再点火

シェイク:シェイクに対する今後の中途研修においての期待や展望をお聞かせください。

忍海邊様: 事業環境の変化に伴い、 中途入社者の早期戦力化への課題も変化していくと感じています。 中途入社者が壁を乗り越え早くから活躍できるためにも、これまでの研修受講者の傾向とあわせ、今後にむけて客観的な視点からアドバイスをいただきたいです。

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