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 シェアド・リーダーシップ研究会 Vol.2 報告:組織の「ありたい姿」を定義する鍵、「規定因子」を深掘りする

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個々が強みを発揮するシェアド・リーダーシップ型組織へ(リーダーシップ開発)

第2回目のシェアド・リーダーシップ研究会では、シェアド・リーダーシップ型の組織を目指すために、その実態と促進方法について議論を深めました。

特に今回の対話では、「シェアド・リーダーシップ」を理解する上で不可欠な「規定因子」と「促進因子」の違いに焦点を当てて、シェアド・リーダーシップを測定するとはどういうことなのか?に関しても、探求しています。

シェアド・リーダーシップを規定する因子と促進する因子

シェアド・リーダーシップを促進するための要因は先行研究でいくつか示唆されています。しかしながら、“これがあればシェアド・リーダーシップ型組織である”という、明確な“規定因子”はまだ確定されていないようです。組織によって変動要素が多いため、「これが正解」と言える定義づけは学術的にも難しいのではないでしょうか。

促進因子と規定因子の違いとは?

促進因子と規定因子の違いを理解するために、まずは植物の成長で考えてみましょう。

促進因子とは、事象を後押ししていくための「動き」「方法」「施策」といった、発生を促す条件を指します。植物なら、成長を促すための水や光、土壌、肥料といった外部条件です。

規定因子とは事象、状態そのものを形づくる「中身」や「骨組み」を説明するものです。植物で言えば、茎、葉、根といった本体を構成する要素に当たります。

シェアド・リーダーシップで言うと、促進因子にはフィードバック、コーチング、権限委譲、そして心理的安全性などが挙げられます。

現在、シェイクで提供しているシェアド・リーダーシップ組織診断は、この促進因子について診断を行っています。私たちのチームはシェアド・リーダーシップを促進する組織になっているか?という観点から組織をチェックしていくツールになります。一方、「これがあったらシェアド・リーダーシップだと言える」といった、その状態を規定する要素が明確になっていないことは、研究上の課題と言えるでしょう。

シェイクが仮置きするシェアド・リーダーシップ 5つの「骨組み」

規定因子が明確になっていないという課題に対し、私たちは学術的な議論(2007年カーソンの論文や石川先生の議論)を踏まえ、シェアド・リーダーシップが発現している状態を構成する「骨組み」として、以下の5つの視点から検討を行いました。

1.リーダーシップの分散

複数のメンバーが互いに影響を与え合うこと。誰がリーダーシップを発揮しているかではなく、どのように影響し合っているかに注目する

2.関係性の相互性

上下関係でなく、メンバーが相互に支え合う関係性である

3.目的目標の共有

共通目的への自発的な貢献があり、個人の利益だけでなく組織目的や目標達成に向けて行動している

4.役割の流動性

状況に応じて主導する人やフォローする人が変わったり、組織内の役割が変わること(立場ではなく機能としてのリーダーシップ)

5.意思決定の共創性

意思決定が共同的に行われること

研究会では上記の5つをあげてみましたが、こうした必要な要素が何かを規定し、測定することで、今後シェアド・リーダーシップの度合いが定量的に把握できるようになると考えられます。

「ありたい組織像」を起点にしたシェアド・リーダーシップへのアプローチ

さて、研究上はまだ明確になっていないシェアド・リーダーシップの規定因子ですが、私たちは対話の中でシェアド・リーダーシップの測定を組織開発に活用する新たなアプローチの仮説を考えました。

それは、「ありたい組織像」を職場ごとに定義し、その目標達成に必要な「促進要素」を特定し、理想の状態をモニタリングするというアプローチです。

例えば、組織のありたい姿を「メンバーが強みを活かし合っている組織」と描く場合を考えてみます。先ほどの5つの規定因子のうち「リーダーシップの分散性」「関係性の相互性」に該当する要素が含まれると考えられます。しかしながら、例えばリーダーシップの分散性の数値が高い=リーダーシップが組織の中できれいに分散していることが理想かというとそうではありません。
個人が、必要に応じてリーダーシップを発揮すること自体は理想的ですが、全員のリーダーシップの分散度合いを同じにすることが理想ではないという意味合いです。このように組織、職種、状況によって変わりうる規定因子を概念として明確にするのは難しいと考えられます。

診断を行うと、その数値を上げることに注力しがちです。しかし、全員がリーダーシップを発揮する組織を目指したとしても、リーダーシップの分散性の数値が高い=リーダーシップが組織の中できれいに分散していることが理想ではありません。
そうした前提を押さえたうえで、組織ごとに「我々はどういう組織を作りたいのか?そのための課題は何か?」を話し合い、自分たちが注力したい要素やテーマに合意し、PDCAサイクルを回すプロセスを作ることが重要だと考えます。
「組織のありたい状態」を起点に、現状とのギャップを分析し、改善するための具体的な行動を組織として進めていく変革プロセスの設計です。この方法により、すべての促進要素を100点目指すのではなく、目指す組織の状態に合わせた施策に絞り込むことが可能になると想定しています。

今後さらに検討が必要な因子

促進因子の一つである「意思決定の共創性」に関連して、意思決定のあり方についても議論が及びました。シェアド・リーダーシップを推進しようとする際によく人事様から言われるのが、全員合議で意思決定を行うことはスピードの低下を招く、という点です。

当然のことですが、組織における意志決定は、誰か一人が決めて責任を取る方が良い場合もあります。大目的に向けた合意ができていれば、各部署で責任を持って決めたことでも、全体としての共創性は担保されると考えられます。
意思決定し、責任を取る人が最終的に管理職であったとしても、フォロワーであるメンバーに意見を言える安全性はあるでしょうか?意志決定に自分自身が何らかの関与ができている実感はあるでしょうか?すべてを合議で決定する必要はありません。意思決定の責任が1人にあったとしても、個々のメンバーが自分も関与している感覚を持っているのは大事でしょう。

また、シェアド・リーダーシップの状態では、誰が意思決定をするのか分からない、といった不安定さや曖昧さが増えることがあります。そのため、組織全体として、答えのないものや曖昧な状況に耐えうる力(ネガティブ・ケイパビリティ)を持つことが、必要ではないか、という検討もなされました。
状況が不確実になればなるほど、人々はデータや根拠を求めたくなります。自身が意思決定する際にも明確な根拠が欲しくなります。現代ではその根拠を求める相手はAIかもしれません。

しかし、時代の要請によって求められるものの、実際の組織のネガティブ・ケイパビリティはどんどん狭くなっています。社会的な背景もあり、多くの組織でネガティブ・ケイパビリティを広げる環境があるとはいいがたいと思います。
シェアド・リーダーシップは、誰が意思決定するのか、誰が推進するのか分からないといった不安定さや曖昧さを伴います。目標達成のプロセスの中でリーダーシップの在り方が変わる可能性もあります。そのため、組織としてのネガティブ・ケイパビリティは、規定因子の1つに入ってくるかもしれません。

第2回のシェアド・リーダーシップ研究会では上記のようなことを話し合いました。

規定因子と促進因子の違いと現状。また今後のシェアド・リーダーシップの組織診断の可能性について、私たちは今後も対話と検討を続けたいと思っています。

個々が強みを発揮するシェアド・リーダーシップ型組織へ(リーダーシップ開発)
この記事を書いた人
飯島 智子
多彩な人と出会い、多様な考え方に触れ、そして様々な組織を知り、その中で常に学び続けることと個人のリフレクション・内省を大切にしています。
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