お電話でのお問い合わせ

03-5213-6888
資料ダウンロード
お問い合わせ
キャリア自律

キャリア自律の落とし穴

「自己選択」の成功体験の少なさ

皆さん、こんにちは。シェイクの吉田です。

夏の甲子園が終わりました。私は、息子が所属しているチームが甲子園に出たことで、甲子園で応援する機会があり、
熱い夏を過ごすことが出来ました。

息子の所属するチームとは違いますが、「エンジョイ・ベースボール」を掲げる慶応高校が優勝しました。
慶応高校の森林監督が高校時代、当時の監督に「セカンド牽制の新しいサインを自分たちで考えてみなさい」と指示されたことが、原体験だったとの記事が出ていました。

一般的にサインは監督が考えるものですから、驚きながらも自分たちで夢中になってサインを考え、そのサインで見事にアウトを取った時の喜びが忘れられないとのことでした。

経済産業省発行の「未来人材ビジョン」に18歳に対する国別のアンケート結果が出ていました。
「自分で国や社会を変えられると思う」と考える人は、アメリカや中国では、66%が「変えられると思う」と答えているのに対し、日本では18%しかいません。

他の調査でも、「これからの人生に選択の自由とコントロールがある」と考える人の割合において、日本は44%で、アメリカの74%、中国の63%、イギリスの73%、スウェーデンの82%などと比べ、ひときわ低い結果となっていました。(リクルートワークス研究所)

日本人は、決められたレールの上を進んでいくことが当たり前と思っていて、自己選択をしていく、自分で変えていくという意識が低い人が多いと言えます。

冒頭の慶応高校のように、自分で考えてもいいのだという感覚や、自分で考えて動かした成功体験を持っている人が少なく、与えられた枠の中で、言われたことに従う教育を受けてきている影響が大きいのかもしれません。

日本企業における「キャリア自律」の現状

さて、昨今、必要性が叫ばれる「キャリア自律」について
考えてみたいと思います。

人事の方と話していると、
「キャリア自律を推進しようと制度を整えているが効果が出ていない」
「キャリア自律を推進すると離職が促進されそう」
と言った声を聞くことがあります。

また、若手社員の声を聞いていると、
「やりたいことが分からない。今のままでいいのか将来が不安だ。
 成長していない気がする」といった声があり、
多くの人は、キャリアに不安を感じている
ように思います。

会社がキャリア自律を推進していることもあり、上司との1on1を実施したものの、上司から何度も、「何をしたいの?」と聞かれ続け、ストレスを感じていると話している若手社員もいました。

若手社員の転職も多くなっていますが、やりたいことが明確にあって転職するというよりも、不安な心理状態において、転職サイトや友人の声を聞き、更に不安が増し、キャリアの正解を探して、転職している人が多いように感じられます。

前述の調査に見られるように、自分で変えていける意識が低く、不安で正解を探す意識になっている若手社員に対するキャリア自律支援において避けた方がいいと考える2つの落とし穴を紹介します。

外圧的、キャリア自律押し付けアプローチ

一つ目の落とし穴は、『外圧的、キャリア自律押し付けアプローチ』です。
「外部環境は変わっている、組織も変わっている。キャリアを築くのは自己責任だ」
と、外部環境が変わっているから、あなたも変わらなければならない、
というメッセージを強調しすぎることです。

外部環境や組織の変化自体は、事実として伝えることは大切なものの、
外圧的に変わることを強要するようなメッセージに聞こえ、
不安な気持ちに、更に不安を上塗りするように感じられます。

キャリア自律の支援をしているつもりが、不安を助長させ、
結果的に、キャリア自律は促進されず、むしろ、
離職に繋がるリスクが高まるかもしれません。

制度や仕組みだけを整えるアプローチ

二つ目の落とし穴は、『制度や仕組みだけを整えるアプローチ』です。
手上げで異動が出来る仕組みや、自由に学べるe-learningの
仕組みなどを整えても、活用されない状況が多く見られます。

やりたいことが明確で、自己選択で仕事に取り組んでいる人にとっては、
自分で制度を活用し、自律的に学びを深めることが出来るでしょう。

一方で、不安で正解を探している人は、他者から自分のキャリアの
正しい答えを教えてほしいというマインドが強く、
自己選択に躊躇することで、自分で踏み出すべき一歩が分からず、
制度や仕組みを活用されないケースが多いように感じます。

大切なのは自己選択

ここでは2つの落とし穴について紹介しましたが、
大事なのは、外圧的なアプローチで人を変えようとするのではなく、
「自分で選択して、キャリアを築いていけるのだ」という、
小さな成功体験を積み重ねていくこと
だと思います。

自分で野球のサインを決めたという原体験が、
自分で決めてもいいのだ、という捉え方が出来るようになったように、
自分のキャリアは自分で選択していけるのだという
捉え方が出来る体験を積むことが大事です。

今の仕事に取り組む中でも、自分次第で自分の能力開発の可能性を
拓いていける感じられることであり、それは、日常の仕事の中に、
自分の可能性を切り拓くカードがたくさんあることに気づくことだと
思います。

転職することや、異動することだけが、キャリアを切り拓くことではなく、
日々、身近にあるカードをめくり続けることから、
キャリアを切り拓いていけることに気づくことが大事
です。

その感覚を持つことが、自己選択であり、自己選択意識を持つことで、
外部環境の変化を不安で恐れるものではなく、自分事として捉えられるようになり、
制度を、自分のキャリアのために有効に活用できるようになると思うのです。

外部環境が変わり、不安定な状況だからこそ、不安をあおるだけの
外圧的なアプローチや、制度や仕組みだけを整える外発的アプローチだけではなく、
キャリア自律のマインドを醸成する内発的なアプローチによって、
自分を見つめ、自分の可能性を切り拓くカードをめくり続ける
人材を育てていきたいと思います。

従業員のキャリア観に関する調査結果
自律的にキャリア開発する社員を増やす(キャリア開発)
この記事を書いた人
吉田 実
誰もが持っている「無限の可能性」と「目が輝く権利」。一人でも多くの人の「イキイキ」のために、これからも邁進していきます!
関連記事を見る
お役立ち資料ダウンロード
お問い合わせ