こんにちは。
シェイクの桐山です。
先日、HRカンファレンスのシェイクブースにおいて
「人材流動化時代のピープルマネジメント」と題して講演を行った際、
定員の2倍以上の方にご聴講いただき、
このテーマにおける皆様の興味・関心の大きさを実感いたしました。
講演の中では、ピープルマネジメントにおいて効果的な仕組みや
HRtechなどをご紹介させていただいたのですが、
更に具体的なhowtoを知りたいというご要望も多く、
いかにピープルマネジメントが現場において簡単ではないこと、
一方で時代が切実に求めているものであるということを実感した次第です。
更に、アフターコロナにおけるテレワーク下において
一律のマネジメントが難しい中、個々にあわせて対応を変える必要があり、
このピープルマネジメントの必要性がより顕著になったと感じております。
ピープルマネジメントとは、
「従業員1人ひとりと向き合い、その成長を引き出すこと」と言われています。
新卒一括採用が依然として続いているものの、一律の育成、一律の成長ではない、
個々のキャリアや目的・課題感に応じた育成、成長を考えていく時代に突入しました。
年功序列や終身雇用を前提としたメンバーシップ型雇用から
ポスト終身雇用やスペシャリストを前提としたジョブ型雇用システムへの転換です。
一方で現在の管理職世代は、個々それぞれのキャリアや目的・課題感に応じた
育成・成長という観点で自分達が育てられてきておりません。
自分で経験したものでないことを人に教えるのはなかなか難しいのが現場の実態です。
一朝一夕で人の成長引き出すことはできません。
人の成長が積み重ねの結果であるように、
人の成長を引き出すのも積み重ねの結果です。
管理職は人の成長を引き出すために何を積み重ねていけばよいのか?
そこで今回は全3回に分けて管理職が何をすべきか
多くの企業で実施してきた管理職研修や「成長」にフォーカスを当てた組織診断から見えてきた
成長につながる「明日からできる」「積み重ねる」ポイントを
管理職の皆様に向けてお伝えしていきたいと思います。
【第一回】メンバーへのコミットメントと踏み込むためのガイドライン作り
第一回でお伝えしたいポイントは大きく2つあります。
(1)メンバーへのコミットメント
明日からできることであり、明日から積み重ねていく行動の1つ目は
管理職の皆さん自身が相手にコミットメントするゴール=「メンバーの成長」は何かを決めることです。
「育成目標」と言ってもいいかもしれません。
例えば、新人育成において、育成目標というものが大抵多くの現場では設定されます。
OJTトレーナー研修を行っても、まず最初に考えるのは「育成目標」と「育成計画」です。
一方で、この育成目標と育成計画は新人だけに限りません。
ピープルマネジメントにおいては、自組織に所属する人の
「育成目標」を管理職がどこまで具体的に想定しているかが大事となります。
何となく、「彼・彼女にはここまで成長してもらえれば」と漠然と思っていることはあったとしても、
具体的にそのイメージを言語化したり、育成ステップを考えたりすることはほとんどありません。
更にこの「育成目標」は相手の可能性を管理職がどこまで信じているかというのが鍵になります。
心理学の言葉で「ピグマリオン効果」という言葉があります。
人間は期待されれば期待されるだけ成果を出すという心理的行動の1つです。
管理職がメンバーに対して、どのような感情を抱いているかは、驚くほど、相手に伝わっています。
相手に期待し、どうにかしてあげたい。
最大限、彼・彼女に貢献したい。
と心の底からあなたが思っていたら、相手はそのことを感じ、
あなたの想いに報いたいと頑張るでしょう。
一方で、その年齢で何でこんなこともできないのだろう、とか
本当はこのメンバーの面倒を見たくないと思っていたら、相手はより一層あなたを苛立たせるでしょう。
あなたはメンバーの成長にコミットメントできているでしょうか?
仮に、
「仕事の仕方が気に入らない」
「相性が悪い」
「年齢で見た時に今更成長も何もない」といった
「ネガティブな要素」が目立つメンバーであったとしても、
あなたが伸ばせる可能性のある相手の成長は何か一つでもないでしょうか?
相手への不満があるということは、
あなたが相手を変えることができないと自分の能力を諦めているのと等しいかもしれません。
相手の性格そのものや人生を変えろと言っているのではありません。
何か一つでも良いので、相手の成長にコミットメントできる要素はないでしょうか?
人は必ずどこかで成長が鈍化します。
ある程度の年次になると今までの成功体験でしか仕事ができなくなります。
その時に、少しでも未体験の仕事を振ることは相手の成長につながることでもあります。
成長に年齢の制限はありません。
一つ一つの仕事から考えてみてもよいのです。
「この仕事」において、今回自分は○○さんにここまで成長してほしい。
「この仕事」で○○さんに少しでもチャレンジしてほしい。
そう思えるものを探すことから始めてみてはいかがでしょうか?
(2)踏み込むためのガイドライン作り
明日からできることであり、
明日から積み重ねていく行動の2つ目は、
相手との合意を得ることによる「踏み込むためのガイドライン作り」です。
昨今の管理職は、ハラスメントなどの恐れから
メンバーに踏み込むことができないという実態があります。
一方で踏み込んでもらえない結果、自信を無くす若手は少なくありません。
若手向けの研修を行っていると
「上司はいい人だけど・・・自分がこの環境で成長できるとは思えない」
と仰る方が大変多くいます。
一方的な踏み込みはハラスメント以外の何物でもないですが、
踏み込まずに表面的なかかわりしかしないというのも、
若手の可能性を遮っていることにつながっているのも事実です。
では、どうしたらよいか?
それは、あなたが先ほどのコミットメントした成長を相手と合意することです。
踏み込みといえばフィードバックであり、
フィードバックが成長につながるという研究は多くありますが
フィードバックはゴールに対して、
「できた」「できない」のギャップを伝えることであり、
ゴールなくしてフィードバックはありません。
そのゴールをまずは相手にも認識してもらい、
あなたがそのゴールにコミットメントしていることを知ってもらう必要があります。
更に、相手に対してもそのゴールを達成する意志があるかを確認する必要があります。
ここで合意が取れたら、共通ゴールができたわけですから、
「成長を達成するためのチーム」として、
ゴールに対して物申す権利を得たことになります。
これが踏み込むためのガイドライン作りです。
管理職向けの360度研修を行っていると
「管理職がメンバーに対して本音で接しているか?」という問いが
平均的に低くつきます。
それは相互の合意形成やガイドライン作りを行っていないことからくる事象だと考えます。
ガイドラインなしに本音は言えませんし、
相手が何を本音ととらえるか相手のとらえ方次第になってしまいます。
もちろん、合意を得たゴール以外は踏み込み禁止です。
そのためのガイドラインです。
だからこそメンバーは安心してあなたを信頼しあなたの話を聞き入れるのです。
まずは、あなたが相手に成長してほしいと思っている具体的なイメージを、
相手に伝えてみることから始めてはいかがでしょうか?
その上で、反応を見ながら自分がその成長に
最大限貢献する意志があることを伝え、相手の意志を徐々に固めていく。
冒頭で人の成長を引き出すには「積み重ね」が大事だとお伝えしましたが、
一方で押さえるべき点を押さえていれば多くの時間をかける必要はありません。
量より質の時代の中で、特に時間のない管理職においては、
ピープルマネジメントも質を上げていくことが求められます。
少しずつでも良いので積み重ねていくことで、
組織の成長につながると信じることから始めてみてはいかがでしょうか?
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