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キャリア自律

「新人研修×キャリア自律」において重要なポイントとは

皆さん、こんにちは。シェイク松林です。
今回のキャリア自律コラムのテーマは、「新人研修×キャリア自律」です。

皆さんの会社では、入社から配属までの研修期間中に「キャリア自律研修」を実施していますか?
また、企画側として、その研修プログラムに納得感や手応えを感じられているでしょうか?

人事の方々とお話しする中で、以下のようなお悩みをよく伺います。

・入社初期にキャリアについて考えさせると、リアリティショックが強まり、離職につながるのではないか
・配属までにキャリア研修をしているが、就活時の自己分析に留まり、新人に対して行うキャリア研修として最適な内容が分からない
・キャリアなので個人視点重視で研修をしているが、組織視点重視の研修(社会人マインドセット、相手視点、マナー等)との乖離があり、各研修が相互に連携せず、独立した内容になってしまっている

本コラムでは、入社から配属までの期間でキャリア自律研修を実施する意義や、「新入社員×キャリア自律」研修において押さえるべきポイント、そして実際の効果をご紹介します。
貴社の新人研修のさらなる質の向上に、少しでもお役に立てば幸いです。

配属前にキャリア自律研修は必要か

結論として、配属までの期間にキャリア自律研修を実施する意義は大きく、推奨される取り組みだと考えています。
ここ数年、人事の方から以下のような問題意識やニーズを多くいただくようになりました。

「相手の期待に応える」ことと「自分らしくある」ことの葛藤

企業としては、学生から社会人への意識の切り替えや、社会人として求められる成果の本質(相手視点に立って、相手の期待を捉えて超える)を学んでほしいと思い、「社会人とは?」という内容を新人研修で扱っていると思います。しかし、新入社員は、相手の期待に応えることと自分らしくいることに矛盾を感じ、悩んでしまうこともあるようです。社会人としてのマインドセットを持ち、相手の期待に応えていくことが、自身のキャリア開発にもつながっていくことを、わかりやすく、納得感を得られるようなストーリーで伝えてほしいというご要望を人事の方から頂くことがあります。

強まる“マッチング志向”と、本気で向き合えない現実

育ってきた社会的背景、売り手市場の就職活動、その際にインプットされているキャリア論などの影響もあり、「この会社は自分に合っているのか?」「この仕事は自分のやりたいことなのか?」と、行動してみないと分からない問いを悶々と考え、企業を見定めるような立ち位置をとってしまう方が増えてきているとお伺いします。見定めること自体は悪くはないと思いますが、目の前の業務に向き合い、その過程で成長し、自身の興味関心、Willも見出していく、という好循環のサイクルに入れきれず、目の前の業務に向き合えない、本気になれない方も出てきてしまっているようです。転職するか否かに限らず、目の前の業務に本気で取り組み、良質な経験を積み重ね、成長していくことには向き合ってほしいというご要望を人事の方から頂きます。

配属後のリアリティショックにうまく対処、適応できない

マッチング志向が強いことの副作用もあり、配属後のリアリティショックに対して意味づけができなかったり、乗り越えられずに諦め感を持ってしまったり、場合によっては見切りをつけて転職される方が出てくることに問題意識を持たれている人事の方が多いです。そのため、リアリティショックが起きることを前提として、そこへの耐性をつけるような支援をしたいというご要望が増えてきました。

成長意欲はあるが、自分が成長できるか自信を持てない

会社としては、長期目線で、自ら学ぶ姿勢を持って成長していってほしいという願いを持っているかと思いますが、新入社員は同期と比較して自信を無くしてしまったり、自分は本当に成長できるのか?と不安に感じ、逆に失敗を恐れて行動できない、経験を積めない方が一定数出てきます。人事の方からは、そのような方々に、成長していくためのマインドや、学び方、成長の仕方を教えて、地に足ついた状態で配属先に送り出したいというご要望を頂きます。

これらの問題意識は、ここ5年ほどでより顕在化してきた傾向です。貴社ではいかがでしょうか?

新人研修におけるキャリア自律支援の重要なポイント

上記の課題を受け、配属直前のタイミングでキャリア自律研修を実施する企業が増えています。以下に重要なポイントをまとめます。

社会人として求められることに向き合うことと、自身のキャリア開発をつなげる

新入社員の立場に立つと、自分のキャリア意向に合った配属先、自分の特性・意向に合った仕事を担当させてほしい等、会社に求めたい気持ちが出てくるのは当然ではありますが、この「与えてほしい意識」から転換を図ることが重要です。会社・上司視点に立った時に「キャリアチャンスを渡したい」と思われるような自律した人材に成長していく意識への転換が、新入社員のキャリア自律において重要な一歩になります。また、誰に対しても平等な機会を提供できないシビアな社会において、キャリアチャンスを渡したいと思われる人に成長するための答えが、これまで学んできた新人研修の内容にあり、それらを理解するだけではなく、行動して信頼を積み上げることが重要だと気づいて頂いたうえで、配属に送り出すことができると良いです。

また、キャリアは1人では作れないこと、人と人との関係性の中で、組織の一員として仲間と共に仕事をすることによってキャリア形成されることも、社会人の先輩がしっかりと伝えていくべきです。当たり前ですが、これまでも自分1人で育ってきたわけではなく、自分が所属した環境や人との関係性の中で育ってきている事実を認識し、だからこそ、職場の環境や先輩との関係性を大切にし、そこから学び、成長していく意識を持てるように促すことが重要です。

自己受容する勇気を持つこと、自己受容が成長を加速させると気づいてもらう

新入社員であっても、ベテラン社員であっても同様かと思いますが、他者と比べてできない自分があわらになることや、失敗することには恐れがあり、できている自分であろうと、そう見せようという意識が働くことが多いです。しかし、そのようなマインドは、自分の成長を制限する要因にもなり得ます。本当の意味で一歩を踏み出し、成長するためには、まず「今の自分」をまるごと受け入れる勇気を持つこと――つまり、できていない部分も、うまくいかなかった部分も、今の自分の実力だと受け容れる勇気を持つことが重要となります。
スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック教授がGrowth mindsetという考え方、“Power of Yet”(まだの力)というキーワードを使いながら、成長する人のマインドセットを解説されています。不合格ではなく、未合格。今はまだできていないだけで、自分は成長の過程にいるのだという認識を持つことで、成長が加速するという内容です。
新入社員が気落ちしてしまうんじゃないかと思ってオブラートに包むのではなく、自身の現在地を自己客観視する機会を作り、それを受容することの意味をしっかりと伝えていくことも、新入社員のキャリア自律を促すうえで、重要な要素となります。

自分に向いている仕事につくというより、自分に向いているように働く意識づけ

自分に向いている仕事に就ければ、それはそれで良いかもしれませんが、最初から「これは天職だ」と思える仕事を見つけるのは難しいですし、100%自分にマッチした仕事だけをやれる環境はほぼないでしょう。また、自分に向いている仕事だけを行っていても、自分のキャリアの可能性も拡がっていきづらいことも想定されます。むしろ大切なのは、「どんな仕事であれ、それを自分に向いているように工夫し、自分らしい仕事を自ら作り込んでいく姿勢」です。
自分らしい仕事を作り込んでいくとは、例えば、貢献志向の強い営業がいた場合、ホスピタリティを活かした営業スタイルを築くかもしれません。達成志向の強い営業であれば、目標に向かってPDCAを回すスタイルがフィットするかもしれません。
仕事自体もなくなったり、求められる仕事の質が変わるVUCAの時代や、急な異動も求められる環境下では、「自分に向いている仕事に就かなければやりがいを感じられない、成果を出せない」ではなく、「どのような環境下、仕事でも、自分らしい仕事を作り込んでいく力をつけていく」ことが、中長期的なキャリア充実、イキイキと働くことにつながっていくことを理解してもらうことが重要となります。

興味関心を起点とした「楽しい学び」の体験をデザインする

こちらの内容は、新入社員に対して、人事として行えると良い支援内容です。
e-learningを導入する企業も多いと思いますが、自律的に学べるプラットフォームを作るだけでなく、それらを活用して、どのように学ぶか?学び方を教え、体感してもらうことも重要になります。オーソドックスなやり方だと、自分に必要な成長、課題を考えて、必要な学習をしていくという形ですが、それだけだと学習の自律性が高まりづらい可能性があります。では、どうしたらよいかというと、必要かどうか分からないけど、自分が興味を持っている、知りたいと思うことについて探求し、学んだこと・気づいたことを同期とシェアし、更に探求したいと思ったことについて学んでみる。このように興味関心、探求心が深まっていくような学びの体験デザインが重要で、探求型の学びが、好奇心と学習意欲を育て、キャリア開発の土台を作っていきます

新人研修×キャリア自律施策の効果

上記のポイントを押さえてキャリア自律研修を行った結果、受講者からは以下のような前向きな反応が寄せられました。

  • これまで受けてきた新人研修の意味や、それを配属先で実践することの意義が腑に落ちました
  • キャリアの8割は予想外の出来事で決まるが、それを引き寄せられるような信頼感のある人材になりたいと思った
  • キャリア開発というと、長期で大きいものという認識だったが、日々の実践・習慣がとても重要だと感じた
  • Power of Yetは、配属後に壁にあたった時の心の支えになると感じた。自分に自信を無くしていたが、前向きになれた
  • 目の前の経験を如何に意味づけ、自分らしい仕事を作り込んでいけるかが、将来的に効いてくると感じた

これらの感想をお伺いし、地に足のついた自律的なキャリア開発の第一歩を踏み出してくれそうで嬉しかったです。
以上、本コラムが、貴社におけるキャリア自律施策の推進の一助になれば幸いです。

従業員のキャリア観に関する調査結果
自律的にキャリア開発する社員を増やす(キャリア開発)
この記事を書いた人
松林 義之
自分の可能性を信じられ、“働く”にやりがいや意味を感じ、志や想いを持って働く人で溢れる社会を創りたい!その為に頑張ります!!
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