こんにちは。
シェイクの三浦です。
5月25日(木)に『HRカンファレンス-春』にて
『シェアド・リーダーシップ』型組織とは
~メンバー全員がリーダーシップを発揮する組織を実現する方法~
というタイトルで講演を行いました。
本記事では、講演を行っての感想と具体的な内容をお伝えさせていただきます。
講演を行った所感としては、「とても楽しかった!」という一言に尽きます。
その理由は、私自身がシェアド・リーダーシップ型組織の実現に向けて想いがあったから、だけでなく、参加していただいた視聴者の皆さまが、ご自身の環境と照らし合わせながら、チャットやアンケートで真摯にコメントを下さり、”視聴者とのつながり”を感じられた点も挙げられます。
まずはこの場を借りてご視聴いただいたみなさまには感謝をお伝えしたいです。
ご参加いただき、ありがとうございました。
ここからは講演のsectionに沿って、内容をお伝えしていきます。
シェアド・リーダーシップとは?
”シェアド・リーダーシップ”とは、そもそもどのような概念でしょうか。
専門家である立教大学石川淳教授は
「チーム・メンバー間でリーダーシップの影響力が配分されているチーム状態のこと」
と表現されています。
これを一言で表わすならば「リーダーシップの相互作用が起きている組織」です。
シェアド・リーダーシップ状態であるかどうかを見分ける時は、一人の影響力がどうなのか、という視点ではなく、リーダーシップがメンバー同士で互いに発揮され合っているのか、に着目すべきだと石川先生はおっしゃっています。
また、目的が明確で、成果に向けた道筋を明らかにしやすい場合は、一人の強い影響力が効果的になりますが、目的が曖昧で成果までの道筋が見えにくい時は、メンバーひとりひとりのリーダーシップ発揮や助け合いなど、相互作用が必要となってきます。
そして石川先生の調査によると、不確実性が高いほど、シェアド・リーダーシップ型の組織が成果(業績など)を出す傾向が高くなる、ということも分かっています。
リーダーが組織を牽引する強いリーダーシップでは不確実性の高い環境には対応しづらく、誰しもがリーダーシップを発揮することで、不確実性の高い環境でも成果を出せる、といえるかもしれません。
Point:シェアド・リーダーシップ型組織は不確実性が高く、成果への道筋が曖昧な時代にマッチする
組織内で求められるリーダーシップと背景・課題
みなさんはリーダーシップと聞いてどのようなイメージを持つでしょうか?
カンファレンス中にも様々なお答えをチャットで投稿いただきました。
「後ろからみんなの背中を押す」
「サーバントリーダーシップ」
「変革をリードする」
「方向性を示す」
「それぞれのポジションで発揮するもの」
など、
みなさんのチャット投稿から、リーダーシップのイメージそのものが多様であると改めて分かりました。
シェイクはリーダーシップを「影響力」であると定義しています。
人を気遣ったり、自己犠牲を払ったり、謙虚さを示したり、人によって影響力は違います。
みなさんの組織の方にはリーダーシップがあると思いますか?
本講演をご視聴いただいた方々の投票では、
「ある」が26%
「ない」が22%
「どちらともいえない」が52%
といった結果でした。
また、2022年10月の弊社調査で20代前半~30代前半の831名に同様の質問をしたところ、「リーダーシップがある」と答えた方は21%に留まりました。
別の調査で、リーダーシップを発揮できない理由を聞いたところ、年次が上がるにつれて「自信がない」という答えが増えていく結果となりました。
リーダーシップを発揮するには何かしらのハードルがあるという実態があることが分かります。
その要因の最も大きなものとして、弊社は「大きなことを遂行するのがリーダーシップ」だという誤解が、非常に強く広がっているからだと感じており、リーダーシップのハードルを下げ、誰しもが自分だからこそ発揮できる影響力を認知し、発揮していく支援をする必要があると考えています。
Point:リーダーシップとは”影響力”である。またその影響力は多種多様である
メンバー全員がリーダーシップを発揮するメリット
シェアド・リーダーシップ型組織が実現すると、どのようなメリットが生まれるでしょうか?
講演当日のチャットでは
エンゲージメントが高まる
多様な可能性が生まれる
指示待ち人間が減少する
新しい取り組みが生まれる
マネジメントが楽
若手のうちから伸びる環境ができる
自分の弱みがカバーされる
自律的に動けるメンバーが増える
自分事なので、楽しくなる
権力的な上下関係がなくなる
意見出しが活発になる
チーム全体がボトムアップする
など、様々なお声をいただきました。
まさにみなさんがおっしゃる通りだとシェイクも考えます。
特に、section1でお伝えしたように、「大きなことを遂行するのがリーダーシップだ」という誤解が、組織の中に強いのであれば、「小さな影響力」が発揮された事例を増やしていくことは、非常に効果的であり、リーダーシップのハードルを下げていくことにもつながると考えています。
また、それによってひとりひとりがリーダーシップを発揮しやすくなり、自己効力感が増し、そのリーダーシップを周囲が支援することで、組織の相互作用も起きやすくなってくると考えます。
Point:シェアド・リーダーシップ型組織には、本人の自己効力感向上、周りの支援促進、リーダーシップ事例増加の利点がある
シェアド・リーダーシップ型組織を目指す上での注意点と具体的対策
同時に、シェアド・リーダーシップ型組織になると、どのようなデメリットや危険が生まれるのか、についてもチャットで投稿いただきました。
組織がまとまらない
方向性の統一がはかりづらい
統率が取れなくなる
バラバラになる
だれが責任をとるかわからない
意見の衝突が頻発する
まとまりなく、方向性がぼやけたり、負荷が高まる
共通認識が無いとバラバラ。
みんなの主張が強くなる
全員の意見を受け入れられないケースが起きる
管理職の意味を考えてしまう
意思決定が遅くなる
チームとしてのアウトプット総量が落ちる
など、
非常に早いスピードでみなさんにご投稿いただき、課題の重さを私自身が肌で感じました。
おっしゃる通り、デメリットも存在します。
特に、若い方や入社して経験の少ない方が、リーダーシップを発揮すると、
「そんなことをする前に、まずは目の前のことをやれよ」
「何をわがまま言っているんだ」と、
違和感を感じる方もいのではないでしょうか。
そこで石川淳教授は「全体視点」が重要だとおっしゃっています。
全体、周り、相手を見て、自分ができることをまずは考え、そこに自分だからこそ発揮できる影響力(パーソナリティ・ベース・リーダーシップ)を見つけ動いていくと、バラバラではなく、調和を保って多様な影響力を発揮し合えるのではないか、という考えです。
自己満足で自己主導的なリーダーシップを発揮してしまうと、シェアド・リーダーシップ型組織は成り立ちません。
あくまでも『周りや全体にとって必要な影響力を発揮する』ことが重要になってくると考えます。
Point:シェアド・リーダーシップ型組織にはデメリットもある。誰かに依存してしまうと成り立たなくなる。全体視点がないとわがままに見えてしまう。事例を蓄積しないと効果が見えにくくなる
最後に
今回の講演を通じて、シェアド・リーダーシップ型組織に対する共感の声を多くいただきました。
一方で、まだまだ実現への道のりは長く、制度や仕組み上で、乗り越えるべき壁も多いと思います。
いきなり大きな仕組みを変えていく、ということができるに越したことはありませんが、まずはリーダーシップのハードルを下げ、個性や強みを活かしたリーダーシップを、身近な範囲で発揮していく事例を増やしていく支援ができると良いかもしれません。
そうやって誰もがリーダーシップを発揮できる環境をつくっていくと、一人ひとりの自己効力感につながり、自信を持って働ける人が増える、そういった人が増えるとイキイキ働ける人が増えていくのではないか、とシェイクは考えます。
本講演をきっかけに、シェアド・リーダーシップ型の組織への実現へ、小さな一歩から、私自身、踏み出していきたいと思います。