皆さん、こんにちは。シェイクの吉田です。
本年度、私が登壇する新入社員研修のアンケートを見ると、
必ずコメント欄に書かれる、多くの受講者の心に響いたであろう言葉がありました。
「能力の差はない。あるのは経験の差である」
という言葉です。私自身が伝えたメッセージであるものの
共通して印象に残っていることが気になっていました。
このメッセージが響いた背景には何があるのでしょうか。
本年度の新入社員研修では、2021年度の新入社員の傾向を調査するために、
いくつかデータを取得していますが、その設問の1つで現時点で感じている不安を聞いています。
様々な項目で不安の種類を聞きましたが、最も強い不安は、
「求められる仕事のレベルに応えられるか」でした。
「かなり当てはまる」「当てはまる」と回答した人は64%。
「どちらかといえば当てはまる」と回答した人を含めると88%が
不安だと回答しています。
因みに2番目に多かったのは、「テレワークでうまく仕事を進めていけるか」
の項目で、「かなり当てはまる」「当てはまる」が49%、
「どちらかと言えば当てはまる」を加えて74%という結果です。
話を戻すと、新入社員の不安の一位は「求められる仕事のレベルに応えられるか」です。
アンケート結果以外でも、今年いくつかの会社で
「内定者がみんな優秀で自分はついていけないのではないかと思う」と話す内定者、
「2,3年目の先輩がみんな優秀で、自分はあのようにはなれないと思うとつらい」と話す1年目社員、
こうした話が何度も話題に上がっています。
こうした同期や年の近い社員と自分を比較して、
「同期に後れをとっていないだろうか」「自分の能力は通用するだろうか」と不安に感じており、
自信を持てずに不安な状態に陥っていると推測されます。
新入社員に「能力の差はない。あるのは経験の差である」という言葉を伝えるとき、
「営業ができる人は、能力が高い訳ではなく、営業という経験をしているだけ。
プレゼンがうまい人も、マーケティング力がある人も、
そのような経験を積んでいるか、積んでいないかの違いだけだ」と伝えました。
「経験さえ積めば、自分でもやっていけるのだ」
「今の能力が低くても当然だ。経験をしていないのだから」
といった感覚を掴むことで、自分の能力に対する不安から解放されるのだと思います。
変化の時代、自律をしていかなければ取り残されます。
自分の力で未来を切り拓いていくことが期待されています。
激動の時代だと嫌というほど聞かされているけれど、
本音は、自分の能力でやっていけるか不安でたまらない状態なのでしょう。
このような状況下において、新入社員を育成する人が、
意識すべきことは2つあると思います。
一つ目は、「人との比較ではなく、過去の自分と比較させること」です。
自分の経験が積みあがることに焦点を当てることです。
日々の成長はなかなか目には見えません。本人も実感しづらいことです。
一日、一日が経験となって、積みあがっていくことをしっかりと自覚させ、
その小さな経験を成長に繋げていくことです。
二つ目は、「知ったかぶり、取り繕いを指摘すること」です。
自信がないとき、我々は「分からない自分を認めたくない」
「周囲から出来ない人だと思われたくない」という気持ちが先行し、
自分を出来る人として見せたくなったり、ごまかす態度をとったりします。
その心理状態が、「知ったかぶり」や「取り繕い」という行動に繋がるため、
「今はまだわからなくても良い、この後理解して行動に繋げればよいだけ」という
新入社員の「知らない事・わからない事への安全性」を確保したうえで、
「知ったかぶり」や「取り繕い」といった行動に対しては、
「知らないことは知らないと認めて、周囲に確認、相談する必要がある」と
明確に指摘することが求められます。
自分をごまかしたり、取り繕う習慣をつけさせずに、知らないことを自ら調べたり、
周囲に聞いたりすることの重要性とその習慣化を促していきましょう。
「人との比較ではなく、過去の自分と比較させること」
「知ったかぶり、取り繕いを指摘すること」
このような指導が、不安に苛まれている新入社員が、
不安から解放され、地に足をつけた着実な成長を遂げることに繋がるのではないでしょうか。