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「人が育つ場」の崩壊

皆さん、こんにちは。シェイクの吉田です。

最近、新入社員フォロー研修で、入社1年目の社員と会うのですが、
明らかに例年と違う傾向があると感じています。

それは、「もまれていない」新人の増加です。

通常、1年目が終わろうというこの時期においては、
思い通りにいかない現状を乗り越えようと必死にもがいている人が多く、
「もまれている」状態にあります。
そのような状況にいる新人をみると、成長していることを感じます。

ところが、今年の新入社員を見ると、例年と比べて、
もまれていない新人が増加していることを感じます。

先日、実施した新入社員フォロー研修においては、
全体の3割程度の人が、「仕事が楽だ」と回答しました。
中には、「叱られたことがない」「あまり仕事がない」と回答した人もいました。

一体、何が起きているのでしょうか?3つの原因があると思います。

一つ目は、新入社員自身が、困難に向き合わなくなってきていることです。

これまで困難を経験したことがない(やりたいことだけやってきた)、
不足を経験したことがない(欲しいものは手に入った)、
多様な人と接したことがない(好きな人とだけ行動してきた)、
といった環境で育っているため、社会人になり、困難、不足、多様な環境に
直面した時に、対応することが出来ず、避けています。

二つ目は、上司が新入社員に向き合えなくなってきていることです。

最近の新入社員が、昭和世代とは違う価値観を持っていることを
分かっているため、どのように接していいか分からずに戸惑っています。
ある管理職は、「少し指導したら、その足で病院に行き、診断書を持ってきて驚いた」と話していました。
結果的に、新入社員に向き合えず、指導が出来なくなっているのです。

三つ目は、成長に繋がる経験を新人に与えられないことです。

昔は、失敗を許容できる適度な難易度の仕事を新人に任せることが出来ました。
最近は、失敗が許容できるような適度な難易度の仕事が減っています。
難易度が高く新人に任せられない仕事や、逆に楽に遂行できる簡単な仕事が多くなっています。
このように経験を通じて、もまれにくくなっています。

これまで、企業は、新人に困難な経験を与え、新人はその困難を
乗り越えるという流れを通じて、「人が育つ場」として機能してきました。

ところが、困難を伴う経験を与えられず、新人が困難から逃げる時代において、
「人が成長する場」としての機能が崩壊していることに危機感を覚えます。

この課題に対して、我々は、どのように対処していくべきでしょうか?

それは「経験が人を育てる」という原則を基軸に、育成を再設計することが必要だと思います。

まず、新入社員は、経験を積むことが成長に繋がることを理解することが必要です。
先日、ある新入社員が、「仕事をRPG(ロールプレイングゲーム)と捉えている」と話していました。
経験を積むとレベルが上がるため、困難な経験を欲していました。
困難な仕事も価値観の違う上司と協働することも、成長に繋がる経験として
捉えるマインドと、乗り越えるためのスキルを学ぶことが必要です。

そして、上司は、新入社員に対して、どのように接したらいいか分からないと
距離を置くのではなく、理解に努めること
が必要です。
昔と今は違います。「昔は・・・」と過去のやり方にこだわり、
囚われるのをやめ、新人を理解した上で、成長に繋がる経験を与え、
大事なことを指導していくことが必要です。

適度な経験が与えにくくなっているからこそ、社内のプロジェクト業務なども含めて、
成長に繋がる経験を創り出すことが必要です。

「人が育つ場」としての組織としての機能を失うことなく強化していきたいと思います。

この記事を書いた人
吉田 実
誰もが持っている「無限の可能性」と「目が輝く権利」。一人でも多くの人の「イキイキ」のために、これからも邁進していきます!
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