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キャリア自律

キャリア自律施策の立ち上げステップとポイント

皆さん、こんにちは。シェイク松林です。

キャリア自律について各社様と議論させて頂く中で、

・キャリア自律施策をスタートさせたいが、どこから、どのように立ち上げていけば良いかわからない

・手始めにスタートはさせたが、単発的に実施しただけで、浸透に向けた推進の方法がわからない

といったお声をいただくことが多いです。

本日は「キャリア自律施策を会社として新たに立ち上げ、推進していく際のステップ・全体像」について考えていきたいと思います。

既に取り組まれている企業様は、自社のキャリア自律施策の点検、PDCAを回す参考になれば幸いです。

(以下ステップに沿って弊社が伴走させて頂く事も可能ですので、遠慮なくお声がけ下さい)

キャリア自律施策において各社で起こりがちなつまずき事例

過去のコラム(キャリア自律とは)でも、各社でキャリア自律に取り組む意味・意義(Why)と、各社で社員に期待したいキャリア自律とは何か(What)を定義する重要性をお伝えしましたが、その部分が機能せず、各社で、例えば以下のような事が起きている事が多いです。

●Whyの機能不全

  • 会社視点への偏り:社員の為というよりも、会社の業績向上の為のキャリア自律だと認識され、社員は他人事意識
  • 社内キャリアへの偏り:離職を防止しながら、社内でのキャリアを考えてほしいと伝わり、キャリア自律施策に社員の共感が得られない

●Whatの機能不全

  • キャリアの誤解:キャリア=仕事選択(異動、転職)や外的キャリア(昇格、役職)といった狭義のものとして扱うと、社員を自分に合う仕事探しの迷路に送り出してしまったり、キャリアアップを望まない・望めない社員にはキャリア自律施策の無意味さを感じさせてしまう
  • キャリア自律への誤解(本人):無意識に「キャリア自律=自分に合う仕事を考え、会社に求めること」となり、自律とは逆行し、環境依存的になってしまう
  • キャリア自律への誤解(上司):部下のキャリア意向を叶えてあげるのが上司の役割と誤認識し、一方で人事権は持たないので、キャリア自律施策に無意味さを感じてしまう

上記のような機能不全を起こさずに、キャリア自律施策が、社員の為のものとなり、効果的に運用されるためのステップを記載致します。

注意:以下はオーソドックスな流れではありますが、この順序で、全ての準備をした上で実施する事が正ではございません。
小さくスタートして、実態を掴み、アジャイル的に構築していく視点も同様に重要です。

ステップ1.自社社員の現状・実情を理解する

社会人には、年齢ごとにキャリアフェーズがあり、そのキャリアフェーズに応じたキャリア課題があります。
(キャリアフェーズが何歳で区切られるかは、各社によって変わります)

人事部起点や研修会社所有のサービス起点でのキャリア自律支援の押し付け(プロダクトアウト型)ではなく、自社の社員の現状・実情(どんな層が、どんなキャリア課題を持っているか)を理解し、現場社員に寄り添った(マーケットイン型)キャリア自律支援施策を実施する事が重要です。

自社社員の現状・実情を理解する方法を記載致します。

●アンケート調査

自社でのキャリア形成期待・形成実感や、キャリア形成上の不安、課題などについてアンケート調査し、自社において、どのようなキャリアフェーズ(どのような層)の方がいて、どんな状態で、どんな課題を持っているかを把握します。

●現場社員へのインタビュー調査

上記で、区切られたキャリアフェーズごとの社員にインタビューし、アンケート結果の背景にあるリアルな実態を掴みます。
自身のキャリア開発について、どのような認識なのか?キャリア形成の期待感を持てているのか?キャリア形成の実感を持てているのか?自身のキャリア開発における不安感、課題感、会社への要望など、社員のキャリアに関する実態の情報収集を行います。

●既存の研修を活用して調査

いきなり大々的なアンケートやインタビューの実施が難しい場合、既に実施している階層別研修などを活用して現状・実情の理解を深める事も1つの手です。
例えば、研修企画の一環として受講対象者に事前アンケート・インタビューをしたり、研修中の受講者の発言から情報収集したり、研修後の受講者アンケートにキャリア自律に関する項目を盛り込むなど、既に実施している研修を起点に社員のキャリア自律に関する実態を掴んでいきます。

ステップ2.上席者報告と共に、キャリア自律のWhy、Whatについてヒアリング

ステップ1で得られた自社の実態を、経営会議で報告、もしくは上席者(人事部長など)に報告し、社会的・社内的にキャリア自律施策を立ち上げていく必要性について理解をして頂きます。

この時に、キャリア自律=社員の自分勝手を促すもの、と伝わってしまうと、物事は進みませんので、キャリア自律とはそもそも何なのか?を正しく説明し、キャリア自律施策が、会社視点と個人視点の両方を重視したものであると理解をして頂きます。

その上で、キャリア自律施策を、会社と個人の両者にとってより良きものとする為に、以下のように、自社におけるキャリア自律のWhy、Whatを定義していく上での期待・要望をヒアリングします。

  • 会社の事業戦略上、今後、どのような人材を戦略的に育てていきたいのか?
  • 事業推進を見据えた際に、キャリア自律施策を、どのような意味合いで実施していきたいか?(組織視点のWhy)
  • キャリア自律施策によって、社員にどのようになってほしいのか?社員に対するどんな想いや願いを持っているか?(社員視点のWhy)
  • 「自社らしい」キャリア自律の意識や行動とは、どんな行動だと思うか?(社員側のWhat)
  • 社員のキャリア自律を期待するだけでなく、会社はどんな姿勢で、どんな支援をしていけるとよいか?(組織側のWhat)

ステップ3.自社におけるキャリア自律のWhy、Whatの定義と合意

ステップ1・2で得られた情報を基に、自社においてキャリア自律に取り組む意味・意義と、自社で大切にしたいキャリア自律の意識や行動、支援する側としての会社の姿勢、支援内容を整理し、自社が目指すキャリア自律の解像度を上げます。そして、その内容について経営会議で報告、もしくは上席者(人事部部長など)に報告し、内容のすりあわせを行います。

また、このタイミングで、社員1人1人が、キャリア自律(意識・行動)を実践できているかを振り返る事ができるようなセルフアセスメントツールまで落とし込むことができると良いです。理論的なキャリアコンピタンシーと、自社で定義したキャリア自律の内容を掛け合わせ、自社で大切にしたい、実践したいキャリア自律の意識、行動を具体的な質問項目に落とし込み、そこに沿って、研修や、定期的なタイミングで、社員1人1人に振り返りをして頂くイメージです。

ステップ4.キャリア自律を促す人材開発体系と仕組みの構築

全てを最初から実施することは難しい場合が多いので、アジャイル的に少しずつスタートさせていく事が良いかと思います。例えば以下のようなものを検討します。

●社員向け人材開発

  • 会社としてキャリア自律になぜ取り組むのか、自社におけるキャリア自律とは何かを、現場に落とし込むための動画作成
  • ステップ1で調査したキャリアフェーズ(年代)ごとに、どんなキャリア自律研修ができるとよいかを検討し、キャリア開発体系を構築

●上司向けマネジメント強化施策

  • 上司にキャリア支援を求めるのか否か、求めるのであればどこまで求めるのかを決定し、上司向け施策を企画・構築

●キャリアサポート室

  • 社員の求めに応じて、キャリアコンサルティング(キャリア相談)を受けられるキャリアサポート室の企画・立ち上げ(社内や社外のキャリアコンサルタントの活用)

●キャリア自律の風土醸成

  • 自律的に学ぶ風土、学ぶのが楽しい雰囲気感、学ぶのが当たり前の空気感を作るための仕掛けやインナーコミュニケーションの企画

●人事制度

  • 目標管理に仕事を通じた成長目標を盛り込む
  • 人事or上司とのキャリア面談の仕組み構築
  • 公募制などの異動の仕組み など

ステップ5.施策実施と定期的な社員の実態把握・施策改善

キャリア自律施策は、明確なスキルインプット施策とは異なる為、効果をすぐに感じにくく、効果に対して自信を持ちづらい施策かと思います。

だからこそ、ステップ3で定義したキャリア自律に関して、社員の実態把握や進捗状況を可視化する為のアセスメントを実施し、社員の変化、小さな進展を可視化し、その情報を根拠にキャリア自律施策を継続していくことが浸透の上で重要となります。

またアセスメントを通じて自社の実態を把握し、今後の課題設定、キャリア自律施策へのPDCAを回していきます。

以上、概略ではありますが、キャリア自律施策を立ち上げていく上でのステップとポイントを整理しました。

上記について、弊社が伴走させて頂き、ともに立ち上げをしていくことや、既にスタートしているキャリア自律施策を浸透させ、効果的に運用していくことも可能ですので、遠慮なく企画段階からご相談を頂けますと幸いでございます。

本コラムが、貴社におけるキャリア自律施策の推進の一助になれば幸いでございます。

従業員のキャリア観に関する調査結果
自律的にキャリア開発する社員を増やす(キャリア開発)
この記事を書いた人
松林 義之
自分の可能性を信じられ、“働く”にやりがいや意味を感じ、志や想いを持って働く人で溢れる社会を創りたい!その為に頑張ります!!
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