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キャリア自律

キャリア自律とは|定義や取り組む意味、企業において推進するために必要な視点

皆さん、こんにちは。シェイクの松林です。

昨今のトレンドワードでもある「キャリア自律」。

このキャリア自律を推進していく為には、企業内で、キャリア自律に取り組む目的や意味、キャリア自律のゴール(社員がキャリア自律している状態)についての共通認識を作っていく事が大事ですが、皆様の会社ではいかがでしょうか?

各社様の取り組みを拝見すると、共通認識が弱いが故に、キャリア自律施策が、社員のわがままを助長する施策になってしまったり、一方で、個人のWillを叶えてくれない会社への不満感に繋がってしまったり等、キャリア自律が、上手く機能していない事例も多いように感じます。

本コラムでは、慶応義塾大学の花田先生に顧問として協力頂き、本テーマに取り組んできたシェイクとして「キャリア自律」を整理したいと思います。

キャリア自律が「会社」と「働く個人」の双方にとって価値のある施策になっていく事を願っております。

キャリア自律の定義とは

まずは、キャリア自律とは何か、代表的な定義を記載致します。

・変化する環境において自らのキャリア構築と学習を主体的かつ継続的に取り組むこと
 出典:アメリカのキャリア・アクション・センター(Career Action Center:CAC)

・めまぐるしく変化する環境のなかで、自らのキャリア構築と継続的学習に取り組む、(個人の)生涯に渡るコミットメント
出典:花田光世・宮地夕紀子・大木紀子(2003)「キャリア自律の新展開」

このキャリア自律を具体的に理解するために、キャリア自律の目的、キャリア自律とはそもそも何なのか?、企業でキャリア自律を推進するために必要な視点を以下で整理致します。

キャリア自律に取り組む目的・意味

ここからは、キャリア自律を解像度高く理解する為の観点を記載しながら、理解を深めていきたいと思います。

2-1.組織視点重視か、個人視点重視か?

各社で取り組まれているキャリア自律が、

・組織視点重視の囲い込み施策:自社でのやりがい向上、リテンション向上(離職防止)の為の施策
・個人視点重視の社員支援施策:終身雇用を約束できない中で、自律して生きていく力を育む為の施策


どちらの考え方が強いかによって、キャリア自律施策は変わってきます。

 もちろん、上記は0⇔100ではなく、バランスかと思いますし、会社にとっても、働く個人にとっても不本意な離職は少なくする努力をすべきかと思います。

しかし、転職が当たり前という人材流動化時代、短期視点で、離職リスクを気にしながら、囲い込むかのようなキャリア自律施策を講じるのではなく、自社で働く社員が、自社でなかったとしても、この時代を自律して生きていけるように支援する、という会社の姿勢、在り方を明確に示しながら、その在り方で会社としての求心力を高めたり、離職したとしても、また戻ってきたいと思えるような会社作りをしていくという視点が重要です。

2-2.ワークエンゲージメント重視か、キャリアエンゲージメント重視か?

キャリア自律を推進すると、ワークエンゲージメントが高まると言われていますが、(結果的に、ワークエンゲージメントが高まる事は、企業にとっても、個人にとってもプラスです)キャリア自律においては、目の前の今の仕事へのやりがい向上を主目的とするのではなく、今の仕事が、たとえやりがいを感じづらい仕事だったとしても、その仕事にも向き合い、どんな経験からも、自分の人生を豊かにする轍・軌跡(キャリア)をつくっていくというコミットメント=キャリアエンゲージメントを高めていくという視点が重要となります。

キャリア自律が、目先の仕事に対するやりがいを、会社が提供するための施策になっていないでしょうか?

※ワークエンゲージメント=「日々の仕事」に対する熱意や、やりがい、コミットメントに関する概念
※キャリアエンゲージメント=「職業人生やキャリア全体」に対する熱意や、やりがい、コミットメントに関する概念

企業におけるキャリア自律とは

3-1.キャリア自律とは、個人を全て尊重する事なのか?

キャリア自律は、働く個人を尊重し、それを出来る限り叶えられるように会社が頑張る施策ではありません。

もちろん会社には「雇用責任」がありますので、個人を想って支援する必要はありますが、それが過度になると、会社=サービス提供者、社員=お客様という構図となり、自律とは逆行します。

キャリア自律においては「雇用責任」と「キャリア自律支援責任」のバランスが重要となり、企業としての雇用責任=個人のWillに対して、キャリアチャンスを提供するという視点に加えて、キャリア自律支援責任=キャリアチャンスを自ら獲得できる信頼感を持った人材を育てる視点が重要です。

プランドハップンスタンスセオリーにも、キャリアの8割は偶然によって形成されるとありますが、一方で、その偶然を引き寄せられる人と、そうでない人がいます。キャリア自律は、そのような偶然、キャリアチャンスを自ら引き寄せていくことが出来る人への成長を意図した施策です。

個人のWillが前面に出すぎたキャリア論も出ていたりしますが、そうではなく、目の前の仕事、組織からの要請、Mustにもしっかりと向き合い、自身のCanを拡大し、キャリアチャンスを授けたいと思われるような人に成長する支援が、働く個人の視点に立った時に、とても重要です。

一方で、Mustだけに向き合って仕事をしていくのも大変ではあります。
ではどうしたらよいのか、次の項目で考えていきたいと思います。

3-2.キャリア自律のゴールは、個人のWill実現なのか?

Mustに向き合い、Canを拡大し、信頼を積み上げ、キャリアチャンスを授けたいと思われる人に成長していく重要性を説明しましたが、では、Willというものをどう捉えたら良いのか?考えていきたいと思います。

弊社のキャリア自律は、個人のWillに沿った仕事に就く事をゴールとしていません。当たり前ですが、企業は、全ての人のWillを叶えてあげられるだけの優しい世界ではないからです。

その中で、Willに合った仕事を探そう!というメッセージは、働く個人を追い詰める事にも繋がりかねないと考えます。ではどうしたらよいのかというと、Willの「実現」ではなく、日常業務でのWillの「発揮」が大事だと考えます。

例えば、今は営業ですが、マーケティングの仕事をしたいというWillを持った方がいたとします。すぐにはマーケティングの仕事に就けないかもしれないが、マーケティング的なセンスを営業で発揮してみたり、マーケティングに対して持っている興味関心を、営業でも発揮できないか工夫する事を後押しします。

今のWillに固執し過ぎて、この仕事はやりたくないとモチベーションを下げるのではなく、自身のWillを日常業務で発揮し、モチベーションを自ら開発して、Mustに向き合い、Canが拡大する、すると更なるWillも磨かれていく、このようなサイクルを自ら回していけるような支援が、働く個人の視点に立った時にとても重要です。

キャリア自律の施策検討に向けて

4-1.社員の能力、可能性に対してどう捉えるか

キャリア自律施策を進めていく上で、

・人には強みがあり、それは固定的なので、その特性を活かすという視点
・人には強みがあるが、それらは変容し、生涯開発していけるという視点

どちらの考え方を持つかによって、企業の動き、施策の内容が変わってきます。

こちらも同様に、上記は0⇔100ではなく、バランスかと思いますが、前者が強いと、個人の特性を踏まえて仕事を絞り込む、マッチングする意味合いが強くなります。

具体的には、組織視点だと、ある社員の「今の特性」と仕事とのマッチング度合いを重視したり、個人視点だと、今の自分に合う仕事を探す意識が強くなり、合わないと思ったら転職という思考になりがちです。

現在は、社会的に前者に寄った動きが強くなっているように捉え、懸念しております。

一方で、弊社としては後者の考え方を大切にしています。

これまで培ってきた強みや価値観も活かしたチャレンジを促しますが、その特性に縛るようなアプローチはせず、人は変容し続けていくという前提に立ち、未来に向けて新たに獲得したい価値観や強みを踏まえてチャレンジを促していくという考え方を大切にします。

このように、企業が社員の能力をどう見るかの違いによって、本人向けのキャリア研修や、部下のキャリアを支援するマネジメント研修の内容は変わってきます。

4-2.キャリア開発のスタートをどこに置くか

巷には、個人のWillや将来のキャリアビジョンを鮮明に描く事を重視し、それをスタートとするキャリア研修もありますが、弊社としてはそこを重要視していません。

VUCAという時代で、キャリアビジョンを明確化し、逆算で考える事は難しく、一部の方には適用できたとしても、多くの方には適用しづらいと考えているからです。

(個人のWillやキャリアビジョンを持てている事は良い事ではあると捉えています)

では何が重要かと言うと、個人のWillやキャリアビジョンは、大きな指針として捉え、その指針に向けて「日常に変化を起こす事」「ストレッチする事」を重視しています。

プランドハップンスタンスセオリーそのものですが、

・明確なキャリアビジョンはないが、ちょっとした興味関心はあるので、学んでみる
・個人のWillと重なりは薄いかもしれないが、自分の幅を広げる機会だと思って挑戦してみる

など、まずは一歩を踏み出して、日常に変化を起こしていく事をスタートとして、その一歩の踏み出し、経験からの学びや、見えてくる事を大切にする考え方です。

おわりに

キャリア自律を推進していくにあたって、解釈がずれたり、誤解が生まれやすそうな観点を中心に提示し、整理しました。

今後、企業としてキャリア自律を推進していく為に、具体的にどんな取り組みをしていけると良いかを、別コラムに書きたいと思います。

本コラムが、各社様でのキャリア自律の推進にあたり、少しでも参考になれば幸いです。

この記事を書いた人
松林 義之
自分の可能性を信じられ、“働く”にやりがいや意味を感じ、志や想いを持って働く人で溢れる社会を創りたい!その為に頑張ります!!
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