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マネジメント

管理職が行うべきピープルマネジメントとは【第二回】

こんにちは。
シェイクの桐山です。

管理職が行うべきピープルマネジメントというテーマで
管理職の皆様に向けて3回に分けてお送りしております。

【第一回】はこちら

一朝一夕で人の成長を引き出すことはできません。
人の成長が積み重ねの結果であるように、
人の成長を引き出すのも積み重ねの結果です。

管理職は人の成長を引き出すために何を積み重ねていけばよいのか?

多くの企業で実施してきた管理職研修や「成長」にフォーカスを当てた組織診断から見えてきた、
成長につながる「明日からできる」「積み重ねる」ポイントの第二回です。

【第二回】「3つの動機づくり」と「思い込みの枠を外す」

(1)3つの動機づくり

明日からできることであり、明日から積み重ねていく行動の一つ目は
「何を」「誰と」「何のためにやるべきか」の3つの動機づくりです。

弊社で実施している「成長支援組織診断」において、
1500部署以上実施してきて見えてきた結果があります。

それは、人が「この組織にいて成長を実感でき」
「この組織でこの先も成長していけると期待できる」
時、
どのような支援が行われていると「認識しているか」というデータです。

成長に必要な支援を4つの軸(下記図参照)

  • 仕事や業務を覚えるための支援「アドバイス支援」
  • 声掛けや励ましなどの支援「ハゲマシ支援」
  • 次の挑戦をさせるための支援「ストレッチ支援」
  • 気づきや学びを促す支援「キヅキ支援」

で分けた場合、
「ストレッチ支援」と「キヅキ支援」が多く行われていると認識されている組織ほど
「成長を実感し、成長を期待できる」という認識も明確に高くなっています。

逆を言えば、成長を実感・期待できない組織に所属している人は、
「ストレッチ支援」と「キヅキ支援」が圧倒的に足りていないと感じています。

この「ストレッチ支援」は次の挑戦の機会提供のことであり、
それを「新たな経験」と言い換えることもできるでしょう。
「新たな経験」を通して人が成長をするという研究データは数多くあります。
しかしながら、「新たな経験」だけで人は成長をするわけではありません。

その「新たな経験」に対して「何を」「誰と」「何のためにやるべきか」という
メンバーなりの意味を作らないと本人が動機付けされないのです。

フェイスブックの人事幹部と組織心理学者のアダム・グラントが、
同社従業員に対して人が働くうえで重視している動機を調査したところ
キャリア、コミュニティ、社会的意義の3つが特定されたという調査結果があります。

キャリア面の動機とは、仕事そのものです。
仕事に没頭でき、自分の強みを発揮し、
仕事を通じて自分の学びと成長が促されていること。

コミュニティの動機とは、人やチームです。
人やチームに一体感や所属意識を持って働けていること。

社会的意義とは、志です。
自分が社会に対して意義やインパクトをもたらしていると感じられていること。

しかもその調査では、従業員の90%が、どれか一つで動機付けされるわけではなく、
2つ以上、もしくは3つ全て必要としているという話でした。

あなたは「新たな経験」を渡す際に、この3つの動機を考えて渡しているでしょうか?
もしくは、3つの動機が満たされるような環境を渡しているでしょうか?

人はこの経験がどれだけ成長につながるかとわかっていても、
本人なりの意味がないと行動できません。

「何を」「誰と」「何のためにやるべきか」が行動の源泉なのです。

まずは仕事を渡す前に、どのような仕事であれ、
「何を」「誰と」「何のためにやるべきか」を考えた上で、
それを伝えることから始めてみてはいかがでしょうか。

(2)思い込みの枠を外す

明日からできることであり、
明日から積み重ねていく行動の二つ目は
思い込みの枠を外すためのリフレクションを促すことです。

先ほど組織に必要な「ストレッチ支援」について触れましたが、
「経験」を通して何を学び・何を気づいたか、
そしてそれを何に応用できるか、といった
「キヅキ支援」=リフレクション(内省)機会があって人はより成長を実感し、
成長スピードを速めていきます。

しかし、リフレクションには適切なタイミングというものがあります。
このタイミングを外せば折角の経験も深いリフレクションが
望めなくなり成長につながらない可能性があります。

その適切なタイミングとはいつか?

それは仕事の「最中」と、仕事の「終了時」です。
終了時にリフレクションを促すことは1on1などの場もあることから、
実施している方は多いかもしれませんが、
仕事の「最中」にリフレクションを促す人はそれほど多くないと思います。

仕事のプレッシャーや時間的制約の中にいながら
「最中」にリフレクションを促すことも促されることもほとんどないでしょう。

しかし、人が学びを得る最大のチャンスは何かが起こっている「その瞬間」であり、
かつその一瞬の時に働きかけをする必要があると言っている学者がいます。
(ヴァンマーネン1991:教育的契機)

何か事象が起きている「その時」に働きかけをしなければ、
あっという間に記憶の彼方に追いやられ、後で「あの時・・・」と指摘されたところで、
「そうだっけ?」となったり、その事実を認められないかもしれません。

その時そのタイミングでのリフレクションが非常に意味を成すのです。

組織心理学の分野において「シングルループ学習」「ダブルループ学習」という考え方があります。

シングルループ学習とは、
与えられた条件の中で結果の改善を図るための学習ループのことを指しています。

例えば、営業電話を掛ける仕事があるとします。

最初は言葉遣いもたどたどしく、相手と話しが続くこともままならない。
そのうち、自分なりにトークスクリプトをつくり、話し方の改善をし、
相手に話を聞いてもらえるようになり、100件に1回はアポイントが取れるようになった。

「行動→結果→行動→結果」を繰り返す学習ループであり、
PDCAを回す改善行動と言ってもいいかもしれません。

ダブルループ学習とは「そもそも何のために」「他に方法はないのか」など、
条件や目標自体を問い直し、行動以前にある前提にメスを入れる学習ループのことを指しています。

例えば、先ほどの営業電話を掛ける仕事に対して、

そもそもこのリストはアプローチ先として適切なのか?
より角度の高い顧客を重点的にアプローチしてみたらどうか?
電話をかける以外の方法はないのか?

といった形で、そもそものやり方や条件を振り返ることで、10件に1回はアポイントが取れるようになる。

「行動→結果→行動→結果」を繰り返すシングルループ学習に対して
「行動→結果→前提を問い直す→行動→結果→前提を問い直す」というのが、
ダブルループ学習となります。

入社半年~2年を過ぎると多くの若手が成長の踊り場に差し掛かります。
それは、多忙な日常の中でシングルループ学習のジレンマにはまってしまい、
成長が感じられなくなるためではないでしょうか。

いわば成長の鈍化が進むのです。
人の成長はある程度まで行くと個人の思い込みによって上達が妨げられ、
これ以上の成長は望めないというスランプに陥ります。

ここにダブルループ学習を取り入れると、
思い込みの枠を取り外して急激に力を伸ばす可能性を手に入れることができます。

そのダブルループを促すことこそが仕事の「最中」のリフレクションです。

仕事の「最中」に、あなたが相手に対して何か違和感を感じたら、
少し場を止めて「今、何を感じている?」「どうしてそう思う?」
「何のためにやっている」「他にどうしたらよいか?」と
相手の前提を問い直してみてください。

その瞬間こそが、相手が思い込みの枠を取り外すチャンスなのです。

あなたは相手の適切なタイミングを見抜けますか?
多忙な仕事の「最中」に仕事を止めて相手の思い込みを外せますか?

相手にとって適切なタイミングが至る所に落ちています。

「何を」「誰と」「何のためにやるべきか」の環境づくりができる
権限があるあなただからこそ、そのタイミングを作れるのです。
まずは、そのタイミングを観察するところから始めてみてはいかがでしょうか?

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テレワークにおける効果的な部下育成とは?
~テレワークだからこそ必要な『部下の自律的な成長を促す“かかわり方”と“1on1スキル”』~

対象:管理職及び部下育成の立場にある方、企画・育成ご担当者様

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※本セミナーは終了しました

この記事を書いた人
シェイク編集部
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