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経営

投票制が作った組織文化

こんにちは。シェイクの吉田です。

最近、以前シェイクが実施していたマネジャーを投票で決める施策、「投票制」についてメディアから取材を受けることがありました。

同施策は、2019年、2020年の2年間、実施した施策です。当時、私なりの意図やこだわりがあり実施していたものの、施策に対しては賛否両論があり、最終的には「この施策を辞めるべき」という社員の声で辞めた施策でした。そのため、私は、この施策自体を語ることに後ろめたい気持ちがありました。

今回の取材では、当時の投票制によって、マネジャーを希望したにもかかわらず、希望がかなわなかった社員も、一緒に取材を受けました。その施策によって、当時辛い想いであろう社員の本音を聞くことを避けたい気持ちがあったのですが、むしろ、本音を率直に開示して頂けたことで、私の中にあったわだかまりが解消された感覚になりました。

今までは、この施策について積極的に語ってこなかったのですが、タブー化して語らないのではなく、なぜ、その施策を行おうと思ったのか、そこから何を学んだのか、といったことを、改めて整理することも意味があることではないかと思うようになりました。

もう、数年前の施策にはなりますが、改めて、シェイクの「投票制」について整理したいと思います。

投票制とは?

投票制とは、シェイクが2019年に始めた、マネジャーを社員全員の投票によって決める仕組みです。2019年は部門長とチームリーダーを、2020年は役員、部門長、チームリーダーを投票で決めました。

仕組みとしては、それぞれの役職を希望する人が立候補し、立候補者が1人の場合は決定、多数の場合は、社員全員の投票によって決めるというものです。

なぜ、投票制を導入したのか?

投票制を導入した背景には、会社の分社化がありました。実は、シェイクは、2017年に2つの会社に分社した歴史があります。それまで、右肩上がりで成長してきた会社が、2つの会社に分かれることになり、約半数の社員が新会社に移籍することが決定しました。残ったメンバーで再出発したのが、2018年になります。

分社化の背景にあったのが、私のこだわりです。
①全員が会社をつくる
②やりたいことを実現する
③人間性を尊重する
この3つにこだわった会社を作りたい。それが私の想いでした。

一般的に、組織においては、経営者やマネジャーが意思決定をするものですが、1人ひとりが会社の意思決定に参画できる組織をつくれれば、社員の当事者意識が増し、よりイキイキと働ける組織になると考えました。

理想の組織を実現するには、マネジャーをやりたいと思う人が手を挙げてやればいいし、全員で会社を作るには、やりたい人が複数いたら、社員がマネジャーを選べばいい、と考えました。

つまり、投票制を行った背景には、
①想いの表明や実現(マネジャーに立候補する)
②自分たちで組織をつくることの実現(投票でマネジャーを決める)
を実現したい、という想いがありました。

投票制がもたらした効果

2年間限定でしたが、この施策がシェイクにもたらした効果はあったと思います。

1つめは、シェイクは、1人ひとりの社員が作っている会社であるという認識が強まったことです。「親と上司は選べない」といった言葉もありますが、上司を選べることになったら、社員1人ひとりに責任が生じます。その責任の一端を担うことは、葛藤する経験であり、その葛藤経験をしたことで、組織に対する当事者意識が高まる結果となりました。

2つ目は、マネジャーの役割が変わったことです。一般的には、会社の目標を達成するために経営者やマネジャーが最適なプランを考え、社員を使って実行することが当たり前かもしれません。
一方で、投票制を実施したことで、マネジャーの役割は経済合理性を追求することだけではなく、むしろ、社員の目線から、最適な支援をしてくれるマネジャーを選ぶという基準が強くなりました。

当時、マネジャーの役割を文言で定義をしていたものの、実際に投票制という仕組みを実施したことによって、「個人の想いを実現することを支援してくれるマネジャーとは?」「対話と共創による組織づくりを促進してくれるマネジャーとは?」という視点が加わり、マネジャーに期待される役割が変化していったと思います。

一方、投票制による弊害もありました。「人気投票になる」「社員は選ぶ視点を持ち合わせておらず、負担である」「経営者が意思決定を放棄している」等の意見もありました。
最終的には、投票制に対して全社員の意見を収集し、効果よりも弊害が大きいという結論に達して、投票制を廃止しました。

投票制から学んだこと

私は、この経験を通じて2つのことを学びました。

1つ目は、「会社の文化が何によってつくられていくのか」という視点を得ました。
投票制という施策は、社員に多くの葛藤を与えることになった、象徴的な施策であったと思います。本来、経営が担うべき葛藤を、社員に分散したとも言えます。

葛藤がありながらも、あえて、象徴的な施策にこだわった背景は、①想いの尊重(立候補や手上げの尊重)、②自分たちで組織をつくる(社員は組織づくりの当事者)という2つこだわりがありました。

結果、この施策によって、組織文化が少しできたと思います。少しだったかもしれませんが、文化になりました。組織の文化は、実現したい組織に一貫してこだわり、こだわりをもった意思決定と反省の連続からつくられるものだと学びました。

2つ目はリーダーシップについてです。組織を変えていくリーダーシップを発揮するうえで、自分のこだわりは欠かせませんが、同時に、対話と共創が欠かせないということを学びました。当時の私には、対話と共創の視点や力が弱く、組織に軋轢を残してしまったと反省しています。変革を起こす視点を持つと同時に、変革による軋轢や混乱を最小限に収めるための対話コミュニケーションが大事であることを学びました。改めて、そのコミュニケーションから逃げてはいけないと思います。

シェイクも、私自身も、今なお、理想の組織の実現に向けた旅の途中です。上手くいかないことも多くありますが、実現した組織像を見据えながら、一歩ずつ前進していきたいと思います。そのプロセスが文化をつくり、そのプロセスによって、1人ひとりのリーダーシップが磨かれていくことを信じて。

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この記事を書いた人
吉田 実
誰もが持っている「無限の可能性」と「目が輝く権利」。一人でも多くの人の「イキイキ」のために、これからも邁進していきます!
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