皆さん、こんにちは。シェイクの吉田です。
企業での人材育成におけるテーマとして、「キャリア自律」や「自律成長」などが注目され、自分のキャリアを自ら築き、自分自身の責任で成長することが求められています。
キャリア自律を実現するために、どのような支援をしていくことが必要でしょうか?
私は、自分自身を導く力「セルフリーダーシップ」を育む支援をしていくことが有効ではないかと感じています。
先日、大学の「キャリア自律」の授業に特別講師として招いて頂き、100名を超える学生に「成長するために」というタイトルで講義を行いました。
講義終了後、一人の学生から以下の質問がありました。
「私は大学4年生で、4月から企業で働きます。企業で働く際、全力で取り組んで周囲の期待に応えられないと、周囲の人をがっかりさせてしまいます。ですから、最初は全力で取り組まず、自分の力を抑えて取組み、周囲の人の期待値を調整する必要があると考えていますが、その考えでいいでしょうか?」
シンプルに言い換えると、「能力の出し惜しみをして、期待値を調整すべきか?」という問いです。
私から回答をしたのち、質問いただいた学生から以下の感想を頂きました。
『「出し惜しみすると自分の成長が遅れる、リアリティショックはいずれ来るから期待度の調整を気にしなくても良い」というご回答をお聞きして、ここ数ヶ月のモヤモヤが一瞬で晴れたように感じました』
この感想を聞いて、私は一安心しましたが、この質問はとてもリアルな質問だと思います。
「成長はしたいと思っているけれど、出来ない自分を見せることで、周囲の人の期待を裏切りたくない」という葛藤があるということです。
シェイクでリーダーシップの発揮に関する調査をしたところ、興味深い調査結果が出ています。新入社員でも、20代後半でも30代でも、リーダーシップを発揮している人の割合は、いずれも、30%程度にとどまるという調査結果です。
リーダーシップを発揮出来ない理由として、新人・若手の頃は「知識やスキルがないから」との理由が多いのですが、年次が上がると「自信がないから」との理由に変わっていきます。
リーダーシップを発揮出来ない理由は変っていくものの、いずれの年代においても、約7割の人は職場でリーダーシップを発揮していません。
リーダーシップを発揮しないことを正当化するために、何らかの理由をつけてしまうという心理状態が起きているものと想定されます。
今回、学生から受けた質問を思い出しながら、多くの新入社員や若手社員においても、
この調査結果と同じようなことが起こっているのではないかと感じました。
- 本当は全力でやった方がいいと思っているが、出し惜しみをしている
- 挑戦はしたいが、出来ない人と思われたくないので挑戦しない
といったことです。
共通するのは、「周囲の目を気にすることで、目の前の仕事に向き合えず、自分の成長を犠牲にしている」ということです。
講義を終えた学生からの感想です。
『「挑戦はしたいけど、周囲からできない人だと思われたくない」と思う人が多いというお話があったが、私自身も日々の生活の中でそういう状況に直面し、結局挑戦することを諦めてしまうことがある。しかし、目標に向かって努力をし、たとえ失敗をしたとしても「出来なかった自分を受け入れ次に活かす」という過程が、成長に繋がるということをあらためて気付くことができた。』
今後、「キャリア自律」、「自律成長」といったテーマは、益々重要になってくるでしょう。
その重要性を社員や学生に伝えて、頭で理解するだけでなく、実際に自分自身に落とし込み、どのような意識や行動が必要なのかをしっかりと落とし込み、行動へと繋げることが欠かせないと思います。
成長するためには、「自ら」挑戦することや「自ら」目の前の仕事に向き合うことが欠かせません。自分自身を深く知り、自らを挑戦や仕事に向き合うことに導く、「セルフリーダーシップ」が必要です。
今回の大学の講義では、その大切さを改めて再確認させて頂く機会になりました。
各社、2022年度の新入社員研修の準備が始まっています。
ただマナーや仕事の進め方を理解するだけでなく、自らを知り、挑戦する楽しみや喜びを多くの新入社員が感じられるよう、気づきや学びを活かせるよう、シェイクとしても準備を進めたいと思います。