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成長の仕方を学ぶアプローチ

皆さん、こんにちは。シェイクの吉田です。

シェイクでは、2010年より毎年、新入社員レポートを発行しており、2022年度版のレポートが完成しました。

https://shake.co.jp/download/2022shinjinreport/
(上記URLよりお申込みいただけます)

今回は、このレポートから、今後の人材育成にどのような示唆があるか、
私が感じたことをまとめたいと思います。

まず、調査レポートで浮かび上がったデータとしては、「自己成長」を重視しているという点です。働く目的の1位は「自己成長」(61.7%)で、2位「やりがい」(56.2%)、3位「収入」(50.2%)と続きます。

また、働くにあたって楽しみにしていることの1位は、「新たな知識・スキルが身につくこと」(60.9%)で、2位「仕事を通して誰かの役に立てること」(55.1%)、3位「チームで協力して仕事に取り組み、成果を出すこと」(50.6%)と続きます。

ここ数年の傾向でもありますが、「自分の成長に対する意識が高く、成長欲求が高い」と言えます。
成長欲求が高いこと自体は素晴らしいことだと思います。
一方で、どうすれば成長に繋がるかが分からなくて迷っている新入社員が多いことも感じています。
例えば、実際に新入社員研修においても、講師に対してフィードバックをもらいに行く場面が多くみられました。
しかし、フィードバックを求める新入社員に、どのような観点でフィードバックをもらいたいのかと尋ねたら、すぐには答えることができず、絞り出したものが「名刺交換の時の立ち位置はどこが正解でしたか」というものでした。
新入社員にとっての成長とは、「正解を知ること」であり、「正解に対して自分自身の課題を発見すること」になっていると感じた事例です。

私が感じている新入社員に対する懸念と今後の有効なアプローチの結論をまとめると、
1. 新入社員は成長をしたいと考えているが、どうすれば成長出来るか分かっていない
2.成長するためのアプローチは、「課題発見アプローチ」ではなく、「良い行動の可視化、学び合いアプローチ」が有効である
ということです。

詳しくみていきたいと思います。

「課題発見アプローチ」とは、正解に対して出来ていないことや、周囲に対して、自分が劣っていることを見つけて、課題として設定し、軌道修正するアプローチと言えます。私たちも、これまで多くの新入社員研修において、このようなアプローチで育成をしてきました。

例えば、実践演習をして、顧客視点で考えられていない状況にフィードバックをすることや、主体的に行動出来ていない場面にフィードバックをすることで、顧客視点で考えることや主体的に行動することを促します。社会人の基礎を知らない新入社員にとっては、効果があると思いますし、必要なアプローチだと思います。

一方で、別のアプローチも有効だと感じています。それは、「良い行動の可視化と学び合いアプローチ」です。

今年、ある会社で「自育プログラム」を実施しました。デイリーリフレクションとウィークリーリフレクションという2つの取組みを繰り返し行うというものです。
デイリーリフレクションは、毎日、他者が発揮した良い行動を振返り、クラスに共有することです。
ウィークリーリフレクションは、同期からのフィードバックを踏まえながら、行動目標を設定する時間にしました。この時、大切にしたのは、回避目標(〜をしないようにする)ではなく、接近目標(~をする)にしたことです。

この仕組みを約1カ月半にわたる新入社員研修において実施したところ、「怒られないために、このような行動を辞めよう」という思考ではなく、「周囲に良い影響を与え、学びの効果を高めるために、このような行動をしよう」という思考や行動が増えました。人と比べて劣っている自分を正すことよりも、自分の強みを活かしながら周囲に貢献することに焦点が当たるようになっていきました。

新入社員に対して、「強みを発揮しよう」というメッセージを出すと、「自分は自分のままでいい、学生気分やわがままでも構わない、それが自分らしさだから」といった捉え方をする人が出てくることが懸念されるかもしれません。

この取組みの素晴らしいこととして、ウィークリーリフレクションで、自分視点だけではない他者視点が入り学び合うことを通じて、目標の基準値が高まったり、深く考察したりといった学び合いが起きたことであり、日を重ねるにつれて、デイリーリフレクションの質が高まっていったことです。

「課題を発見して修正する」よりも、「強みを発見し活かす+いい事例を共有して促進させる」仕組みが有効であることを感じました。

結果としても、成長を実感した人が多く出てきており、「良い行動の可視化と学び合い」を通じて、成長の仕方を身に付ける機会になりました。ウィークリーリフレクションの目標設定も有効に機能したと思います。

新入社員に対して「主体性を発揮しよう」というメッセージを発信することがありますが、受講者にとっては、「主体性を発揮出来ていない皆さんはダメだ」という否定のメッセージに聞こえかねず、「主体性を発揮しないと怒られるから、主体性を発揮しなければならない」という回避的なマインドでの行動を促している可能性があります。

本当の意味で、主体性を発揮する意味を感じ、自ら主体性を発揮したいと思うには、「課題発見アプローチ」ではなく、「良い行動の可視化、学び合いアプローチ」が有効だと思います。

多様性の時代となり、他者との横並びではなく、一人一人が自分の強みを活かして、周囲に貢献することがより重要になってきています。
そのような中、どのような思想で新入社員研修を設計するかにおいて、設計する側の意識転換が求められているかもしれません。

この記事を書いた人
吉田 実
誰もが持っている「無限の可能性」と「目が輝く権利」。一人でも多くの人の「イキイキ」のために、これからも邁進していきます!
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