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研修事例紹介

さまざまな”リーダーシップを磨く”カタチ①~次世代リーダーが実践したプロジェクト活動~

こんにちは。シェイクの飯島です。

シェイクは「人材育成に関するコンサルティング、プログラムの提供」を行っています。

シンプルに言えば、研修をはじめとした育成にかかわるサービスを提供しています。

実はシェイクのプロジェクト活動のノウハウは
お客様の育成プログラムの中で、「職場での実践を通して学ぶ」目的でも活用されています。

ここからの話は、私が実際にシェイク側のファシリテーターの一人として参加した「次世代リーダー育成プログラム」におけるプロジェクト活動の「山あり谷あり話」です。

次世代リーダー層のプロジェクト活動の概要


今回実施した対象者は、リーダー層(非管理職)で、
約半年間、4人1グループで会社のビジョンを具体化するための5グループに分かれて、プロジェクトを遂行していきます。

プログラムのコンセプトは、プロジェクト活動(新たな経験)を通して学ぶといったもので、研修はそのための準備・インプットの場に過ぎず、
実際のプロジェクトにおいてリーダーシップを発揮し、自分の成長につなげるといったものでした。

よくあるリーダー世代の研修後の継続支援というと、
テーマは新規事業の提案や次の中期経営計画への提案といったものが多くなります。

それらは、「脳に汗をかく経験」や「修羅場体験」が目的となっています。

その場合、求められるのはアウトプットを形にすることであり、
現場目線だけでなく、経営者の目線で物事を考えることが求められ、
中間レビューのたびに経営層や講師から厳しい指摘がくる、というパターンとなります。

本プロジェクトでも思うように進まず悔しい思いをする受講者もいました。
しかし、このプロジェクト活動は実践からの学びと成功体験を積むことが目的です

そのため、経営層(上位者)の方には、サポーターとして各グループについていただきます。
フィードバックをする人ではなく、自分たちのプロジェクトの支援者になってもらうのです。

受講者の方々は、会社のビジョン達成にかかわるけども、
普段の仕事とは異なるプロジェクトに約半年間取り組みました。

この次世代リーダー育成プログラムを通じて、
「競合」にあたる会社の方にヒアリングし、「コラボレーション」の可能性を模索したり、
その会社での先進的な取り組みをしている現場に体験に行ったり、
様々な行動が生まれました。

軽い越境体験とも言えるでしょう。

普段の仕事の延長では知りえないことを知り、体験し、
会社の未来について考え、また自分たちの現状のリソースについても考えます。

新たなサービスを自社開発すべきなのか?
すでにある他社のサービスとの連携を図るべきなのか?
人員はどうするのか?
コストはどの程度見込むのか?

そういったことを考え、行動に移し、最終的に会社のビジョン実現のための提案へとつなげていく活動でした。

未知の仕事に対する他責感情 ~上司も経営者も頼れない~

最終的に、それぞれのプロジェクトは経営が出席する経営企画会議で継続審議されることとなり、
一部は実際に現場で取り組もうという様相を示し、このプロジェクトは大成功であったと思います。

しかし、受講者の道のりは決して平坦なものではありませんでした

例えば、自分たちのアイデアをブラッシュアップするために
直属の上司へヒアリングをした人がいます。

その時、上司は「そんなこと考えたことないよ」と答え、逃げてしまったとのこと。

「なぜ、上司ですら考えたことのない課題を自分たちが考えているんだろう?」
「これは経営や本社の仕事ではないのか?」
「(上司ですらわからないのであれば)結局、自分たちは何を提案してもだめだといわれるのではないか」

こうした感情を抱いた受講者は少なくなかったと思います。

たとえ管理職であっても、日々忙しく、未来のことや潜在的な顧客については実際には深く考えられていない

受講者の皆さんは基本的にやる気があり、もちろん実力もある方でしたが、
一方で、プロジェクト開始当初は今後に対する不安と他責感情
一部の受講者に漂っていたように思います。

また、経営層の支援者がいるのも、本プロジェクトの大きな特色といえますが、経営層のサポーターといっても、そのかかわり方には濃淡があり、
それぞれのプロジェクトテーマに対する考えや優先順位も若干異なります。

中間発表の後、ある受講者との面談で
「うちのグループのサポートの方はイマイチで・・・」という相談がありました。

よく話を聞けば、サポーターが多忙で、ほとんどコミュニケーションが取れていない状況でした。
他グループは支援を受けているのに・・・という他責感情。

しかしながら、サポートはあくまでもサポートであり、
会社側が支援として用意したにすぎません。

そして、いざ別の方にサポートをお願いしたいと思っても
彼らは「何に対してサポートしてほしいのか?」
自分たちが何もわかっていないことに気づきました。

目的やビジョンがなければ、サポーターも動けない
結局は「自分たちが行動する」しか、道はないと気づきました。

行動の先の意識の変化 ~動くことで見える世界がある~

サポーターへの不満が出てから、1か月後、
そのグループのある受講者が、晴れ晴れとした顔で
「●●(競合にあたる会社)の担当者に会ってきた」と話していました。

話を聞くと、普段の仕事では、部署で一番最初に行動するのが自分の強みだった。
でも、今回やったことのない分野で、具体的なHOWや後押しもない中で
自分の強みを忘れていた、と、内省されていました。

実際に別の会社の人と会い、率直に話をしてみたところ、
自社にない競合の強み・サービスがわかり、また自社とは違う競合の課題感も明らかになり、
これは「協働」の可能性もあるのではないか?という気づきがあったようです。

もちろんこの1回の訪問で、すぐに「協働」には至りません。

しかし、一つの行動が自分の視野を広げるきっかけになった
上司も経営も知らない情報を自分がつかんできた。という自信は
彼にとっては決して小さくないものだったと感じます。

こうした動きの中で、プロジェクトに対する「ジブンゴト化」が進んでいったように思います。

プロジェクトの成功の秘訣

プロジェクト活動において、目標達成や成果・成功はもちろん大事です。

しかし、本プロジェクト活動は、一番の目的を、
「個々の受講者が自身の強みや成長を認識し、リーダーシップを発揮する機会である」とし、
会社や育成側の方にも、いい意味で割り切って実施いただいています。

プロジェクトとして取り組んでいることは、経営層や上位層から見れば
独創的なことでも、先見性のあることでもないかもしれません。

ゴール設定やプランに対して、十分に準備し、完璧に仕上げることのは難しくても、行動することで、問題解決へと近づくことができる。

仮説そのものが良い仮説かどうかを見極めることは難しくても、
立てた仮説をスピード感をもって検証し、
その中から「うまくいくやり方」「ニーズにマッチするやり方」を見出すことができる。

今の時代に求められる考え方の実践の場として、かつ「失敗」が許容される場としてプロジェクト活動を活用することが大切です

失敗が許容されていても、受講者の皆さんは確実に成果に向けての動きをとります。

そして、受講者の成功体験として積み上がっていくことが
このプロジェクトの意義であり、その成長実感、積み上げている実感
彼らの経験のとらえなおしにつながっているように感じました。

プロジェクト成功の秘訣は?と聞かれたら、
私は「失敗をさせる、ではなく、小さな成功体験を積み上げる」ことの支援だと答えると思います。

この記事を書いた人
飯島 智子
多彩な人と出会い、多様な考え方に触れ、そして様々な組織を知り、その中で常に学び続けることと個人のリフレクション・内省を大切にしています。
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