あなたの会社の研修で、積極的に手は挙がりますか?
皆さん、こんにちは。シェイクの吉田です。
研修では、グループで議論した後、まとめたことや気づいたことをクラス全体に発表する機会がありますが、
講師がクラス全体に対して、発表するように促しても、積極的に手が挙がることは多くありません。
全体で発表する行為は目立つ行為であり、出しゃばっていると思われかねないですし、間違った発言をして恥をかくリスクもあります。
講師や研修を企画した人事は、主体的に発言することを期待しますから、その期待に応えるべく、全体発表をする人もいますが、そのような人は一部に限られ、その場合においても、どことなく、やらされ感で発表しているような空気が漂います。
先日、入社数カ月が経過した新入社員に対して、私自身が講師(ファシリテーター)をさせて頂いた研修において、
多くの研修とは違う雰囲気を感じました。
殆どの受講者が自ら挙手をして発表したことに加え、発表自体が、発表しなければいけないから発表するという
義務感に近いスタンスではなく、他のグループの学びに貢献したいという意識による発表だったと感じました。
実際には、挙手をして発言するだけではなく、自主的に回収資料を他のグループに声をかけて回収すること、研修の席の配置を、学びに最適な状態にすることを提案すること、自分たちで教室の温度管理をすることなど、事務局が研修をつくるのではなく、自分たちで研修を作っているような場になっていました。
私自身も、試行錯誤しながらファシリテーションをしていたのですが、今回、このような場になったポイントを3つ振り返りたいと思います。
そのプロセスをひも解くことを通じて、人が主体的に行動するためのヒントになれば幸いです。
主体性発揮のポイント
周囲に貢献する行動の可視化
一つ目は、「周囲に貢献する行動の可視化」です。
本来、人は、周囲の人に貢献することに喜びを感じると思います。
人の役に立って、お礼を言われることは嬉しいことですし、貢献することで、自分の存在意義を確認することも出来ます。
でも、なかなか貢献する行動をとることが出来ません。
なぜならば、
- どのような行動が貢献する行動なのかが分からない
- その行動に対して、本当に他者が喜んでくれるか不安がある
- 貢献行動をすること自体が、気恥ずかしい
といったことがあるからです。
大事なのは、この行動は、周囲が喜んでくれる行動であり、恥ずかしくないことであるという共通の認知を作ることです。
今回の研修においては、受講者の皆さんに研修中での貢献行動を洗い出してもらったところ、
「周囲への大きなリアクション、傾聴、質問する、発表する、
温度管理する、挨拶する、笑う、拍手する、時間管理する・・・」
といった行動が可視化されました。
可視化された結果、一人一人が安心して貢献活動を行うことに繋がりました。
貢献行動の発見と承認
二つ目は、「貢献行動の発見と承認」です。
人のいい行動にアンテナを張り、いい行動を見つけたときに、「いいね!」と伝えてあげる場になったことです。
今回の研修では、クラスに模造紙を張り、他者の行動で、人に貢献している良い行動をしている場面を見つけたら、付箋に書いて、模造紙に貼り付けることを実施しました。
人の貢献行動に意識を向け、見つける機会になると同時に、一人一人が人から見られている感覚を持ち、承認され、貢献実感を持てる効果がありました。
自己決定要素の組み込み
三つめは、「自己決定要素の組み込み」です。
本来、研修は、人事に与えられてお客様として受けるものではありません。
自律的に成長することが期待されている現状においては、研修を受けることも、研修から何を学ぶかも自己責任と言えると思います。
人事に企画された研修を受け身的にこなすだけではなく、自己決定、自己責任の要素を組み込みました。
そのことによって、自分たちが研修を作っている手応えを持つことになり、研修への当事者意識が向上しました。
今回においては、研修の学びが最大化することを目的に研修2日目のグループメンバー構成を、自分たちで決めてもらいました。
この研修をよりよくするための一端を自分たちが担っているという感覚を持つことに繋がったと感じました。
職場での主体性発揮
今回のポイントは、主体性を発揮する研修を企画する上で、参考になればと書かせて頂きましたが、実際は、研修に限る話ではないように思います。
若手社員のエンゲージメント向上が求められる中、上司の立場から考えて、どうすれば、若手社員が組織に対して主体的になり、貢献し、エンゲージメント高く働くことが出来るか、のヒントになるのではないかと考えます。
自社における研修設計や、自職場における主体性発揮を促すためのヒントとして活用して頂けると嬉しく思います。