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研修事例紹介

役員に「提言」する研修の罠

「提言」ではなく「宣言」する研修

皆さん、こんにちは。シェイクの吉田です。

次世代リーダー育成研修と言えば、どのような研修をイメージされるでしょうか。

次世代リーダーを期待される社員が、事業提案等を考えて、社長や役員に提言し、フィードバックを受けるような研修をイメージされる方も多いのではないでしょうか?

私自身も、研修を実施する立場として、このような研修を多く企画・実施してきましたが、先日、若手・中堅社員を対象とした次世代リーダー育成において、「提言」ではなく、「宣言」をするという研修を実施しました。

とても興味深い効果が出たと思いますので、研修企画の参考のためにご紹介したいと思います。

「提言」の罠

さて、今回、役員に「宣言」するという研修を実施したことで、「提言」する研修に2つの罠があることに気づきました。

役員と社員の間に対立構造を生んでしまう

一つ目は、役員と社員の間に対立構造を生んでしまうという罠です。
役員は社員が提言したことに対して、社員の成長を思い、良かれと思うからこそ基準値高く、経営視点の低さやロジックの甘さなどを指摘します。
一方で、社員側も必死であり、役員を説得しよう、論破しようとします。
結果的に、役員と社員のコミュニケーションは、対立的になり、一緒に、会社をよくしていこうという協働のスタンスになりにくくなります。

役員が上、社員が下という序列を作ってしまう

二つ目は、役員が上、社員が下という序列を作ってしまうことです。
提言することで、「これを実現してもらえないでしょうか」というお伺いを立てる構造になります。提言を聞いたうえで役員がジャッジをするのですから、このような構造になるのは避けられませんが、役員が上、または、役員が答えを持っている、という序列の意識を生み出してしまうことは避けられません。

もちろん、社員の視座を高めること、戦略思考やロジックを鍛える上では、このような「提言」スタイルの研修は有効で、私自身、次世代リーダー育成研修は、「提言」するスタイルを取ることが当たり前と思ってきました。

しかしながら、上記のような罠があることを考えたとき、目的次第では、別のアプローチもあると感じています。

「宣言」する研修のイメージ

それは、提言ではなく、「宣言」する研修です。

社員が役員に「宣言」するとは、
「私たちは、このようにこの会社を変えていきます。
 5年後にこのようなことを実現していきます。
 是非、役員の皆さんの力を貸してください」といった内容を
宣言として発表するもの
です。

このような宣言に対しては、役員はジャッジができません。
役員が上、受講者が下という関係でもなく、会社の未来を創る、変えていくという共通目的に対して一緒に取り組む関係性になります。
より精度の高い行動をするための支援者になります。

「宣言」する研修の効果

企画当初、受講者にこのような研修であることを伝えると、「本当にこのような研修が成り立つのか?」と疑問を感じた方もいらっしゃいました。
役員の中にも、同様に違和感を持った方もいらっしゃいました。

実施してみて感じたことは、この研修は、組織風土を変えていくパワーがあるということです。

今、変革が求められている組織が多くあります。
トップが変革を叫び、ビジョンを語っても、社員が当事者意識を持てず他人事で傍観している社員も多いと思います。

社員は、経営者の話を聞こうとしていないのです。

トップからすると、「なぜ、危機感が伝わらないのか」と嘆きたくなる気持ちも出るかもしれません。
そのような中、提言する研修を実施し、経営者から「まだまだ、甘い」とダメ出しをされても、社員の心は離れたままです。

役員に「宣言」をした後、受講者社員は、「役員が聞いてくれた、受け止めてくれた」という大きな満足感を得ていました。

上からジャッジするのではなく、受け止めて支援者になってもらえると感じたことで、役員に対する距離感が一気に縮まり、自分たちも役員の話を聞こう、役員に協力していこうというスタンスに大きく変わっていったと感じます。

組織を変えるには、トップが変革を叫び変革を起こしていくのが一般的でしょう。
若手・中堅社員から、組織を変えていくのは難しいかもしれません。

しかしながら、若手・中堅社員が宣言をして、役員が受け止める、更には、行動したことに対して、役員が承認するといったサイクルを回していくことが出来れば、確実に組織に変化が現れます

そして、組織を動かしたという手ごたえを得ることが出来れば確実に若手・中堅社員のリーダーシップも高まり、次世代リーダーとして成長していくことでしょう。

組織に変革を変えていきたい場合、「提言」するという研修ではなく、「宣言」するという研修も検討してみてはいかがでしょうか?

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この記事を書いた人
吉田 実
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