コラム

早期離職について考える

皆さん、こんにちは。シェイクの吉田です。

先日、大手企業の入社7年目にあたる昇格者研修のファシリテーターをさせて頂く機会がありました。

休み時間に受講者の方々に「大人しい人が多いですね」と話していたら、「尖がった同期は殆ど辞めましたから」とのことでした。

20代の人材育成におけるキーワードの一つに「早期離職」があげられます。

早期離職問題について、人事の方から相談を受けることが多くありますが、大きく2つのケースがあると感じています。

一つ目は、将来のリーダー候補者層やそうではない層も含め、全体的に離職が高いケースです。

人材の層に関わらず、全体的に離職が見られる場合は、そもそも育成風土が整っていないことが多いため、このような場合は、育成体系、OJT制度、育成すべき人材像の明確化やスキル定義など育成基盤を整えることが確実に離職率低下につながります。

二つ目は、特に将来のリーダー候補者層が離職していくケースです。

この「将来のリーダー候補層の離職」は、最近多くの企業で増えてきている課題だと感じています。

冒頭にあげた企業は、二つ目のケースにあたり、将来リーダーを期待された層が、入社5年目くらいに、新たな成長機会を求めて他社に転職していってしまいます。

シェイクの調査によると、20代社員の働く目的に関する2大キーワードは、「成長」と「やりがい」です。

20代社員の育成においては、この「成長」「やりがい」というキーワードをもとに環境や制度を整備していくことが求められますが、将来リーダーを期待された20代半ばの社員における「成長」の意味合いが本人と会社でずれていることが、この問題を引き起こしていると感じます。

先日、日本を代表する有名大手企業のマネジャーとベンチャー企業の若手社員の対談に立ち会う機会がありました。
対談が終わって、ベンチャー企業の若手社員が開口一番につぶやいたのは、「私がこの会社の社員ならすぐに辞めます」と。

「マネジャーは、若手の成長を支援しているというけれど、会社の利益のために成長させたいと言っているだけで、全く個人の視点に立っていない」ということでした。

入社3年目くらいまでは、企業における若手育成は、将来に対する投資でしょう。
若手社員にとっては、会社が自分の能力開発に投資をしてくれている訳ですから、非常に有難い話と言えます。

入社4年目くらいを過ぎてくると、会社としても投資の意味合いから、成果を出すことを期待する投資回収の意識になります。

ここで、会社と社員の間で認識のずれが起きてきます。

会社は投資回収の意識が強くなっていますから、「この会社での成果に繋がる能力開発」を成長と捉えますが、将来リーダーを担っていくような若手社員からすると、「この会社での成果に繋がるだけの能力開発ではなく、どの会社でも通用する市場価値の高い能力開発」を求めているのです。

4年目以降、30歳前後での離職が目立つ企業においては、人材育成の軸を、社内基準ではなく、社外価値を高めるための育成に切り替えることが求められているのではないでしょうか?

これからの時代、会社としての枠はどんどんなくなっていきます。

離職した人とコラボレーションしながら新たな価値を生み出す機会も多くなるでしょう。

社内外に、社外価値がある人をどれだけネットワーク構築出来るかが企業競争力になってくるのではないでしょうか。

そう考えると、社外価値がある人を輩出できる企業風土を作っていくことこそが、長い目で見ると、離職防止策になってくるのではないかと思います。

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