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シェアド・リーダーシップと境界線

こんにちは。シェイクの吉田です。

皆さん、「スターディ・リーダーシップ(Sturdy Leadership)」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

最近、経営経験の豊富な先輩から、これからのリーダーシップ開発について大切な概念になるかもしれない、と教えて頂いた言葉です。雑誌「TIME(2024.11.11)」の「It’s time to set Boundaries」という記事で紹介されていました。

一言で言うと、スターディ・リーダーシップとは、他者の感情に共感しつつも、適切な境界線を引いて導くスタイルのリーダーシップです。

私自身、初めて聞いたとき、「なぜ、境界線を引くことがリーダーシップ開発において重要なの?」「境界線を引くことはリーダーシップ開発というより、マネジメントの話では?」と感じました。

その後、先輩や社員と対話を重ねる中で、シェアド・リーダーシップ型の組織実現において、とても重要な概念だと感じるようになりました。

今回は、シェアド・リーダーシップ型組織実現において、適切な境界線を引く「スターディ・リーダーシップ」という概念の重要性と実践のポイントをまとめました。

スターディ・リーダーシップ(Sturdy Leadership)とは

改めて、スターディ・リーダーシップ(Sturdy Leadership)とは何かを整理しておきます。

スターディ・リーダーシップとは、
・境界線をしっかり引く
・相手の感情にも共感できる
という「強さ」と「しなやかさ」をあわせ持ったリーダーシップです。

例えば、家庭や職場で適切にスターディ・リーダーシップを発揮できていないイメージとしては、

家庭:子どもを過剰に守りすぎる(境界線が引けない) or 感情的に突き放す(共感できない)
→ 自己肯定感の低さ・他責的傾向が強まる

職場:部下に寄り添いすぎて課題を指摘できない(境界線を引けない) or 上司が一方的な管理を行い、部下のモチベーションが低下する(共感できない)
→ 自律型人材が育ちにくい

といったイメージです。

シェアド・リーダーシップ型組織における境界線の大切さ

シェアド・リーダーシップ型組織においては、1人ひとりがリーダーシップを発揮し、自律的に行動することが求められます。

言われたことを機械的に実行するだけではなく、感性や感情も大切にしながら、組織の課題解決やプロセス改善、そして新たな価値創造も求められます。

一方、ある会社で、社員に感情を自由に出す組織にすることを宣言し、実践した結果、収拾がつかなくなり、カオスのような状態になったとの話を聞きました。

シェアド・リーダーシップ型組織は、社員1人ひとりの自律性を大切にし、自由度が高い組織風土にすることが大切ですが、どこかで境界線を引くことも大切であり、その境界線の引き方によっては、ガチガチ組織になったり、カオス組織になったりします。

そのような中、シェアド・リーダーシップ型組織実現における、境界線の引き方のポイントを3つに整理しました。

信頼関係が境界線を拡げる

シェアド・リーダーシップ型組織において重要なのは、出来る限り境界線を拡げることです。上司が失敗を恐れると、部下の行動を細かく管理することや、ルールを守ることが絶対といった、自由度の低い組織になりがちです。

自由度や自律性を高く保つためには、出来る限り境界線を拡げることが大切になります。とはいっても、「自由度を高める=自分勝手な動きの助長」になってしまうと、それぞれの行動に対する快不快の感情が生まれ、お互いに不満を抱き、時に相手を責めるようなコミュニケーションが生まれてしまうかもしれません。

そこで、出来る限りルールで縛るのではなく、自由度高く規律が取れた状態を実現するために大切なのが「信頼関係」です。信頼関係が高まると、価値観や背景の違いを理解し合い、受容性が高まりますし、相互にフィードバックを与え合うことで、お互いによりよい方向に成長することができます。

ポイントの一つ目は、信頼関係が高まると境界線を拡げることができる、ということです。

無意味な境界線をなくす

組織内には、様々な境界線があります。特に最近は、ガバナンス・コンプライアンスの強化に伴い、やってはいけないことが明確になっています。実際に、コンプライアンスなどの境界線は、絶対である必要があり、いい加減な運用は許されません。

一方で、年功序列で、上位者の意見が尊重されるという組織風土はどうでしょうか? これも境界線の1つだと思いますが、若手社員からすると理解しがたい境界線になってきているかもしれません。

コンプライアンスの境界線と、形骸化しつつある組織内の暗黙のルールによる境界線は、全く違う性質の境界線と言えそうです。

本当に必要な境界線と、無意味でなくすべき境界線を見極め、無意味な境界線をなくしていくことが2つ目のポイントです。

共に境界線を引く

上司と部下において、境界線の認識がずれることも多くあるでしょう。部下は仕事を任せられたと思って自由度高くアウトプットを出したら、後で、多くの修正が入ることなどは、一例かもしれません。

部下は、「先に言ってよ」という感情が芽生え、自律的に動こうとする意識が弱くなるかもしれません。

「どこまでが許されるのか」の境界線。その納得感を高める有効な方法は、境界線を一緒に引くことです。
特に、納得感を持てるような境界線に合意するコミュニケーション力は、これからのリーダーシップスキルとしては欠かせないスキルになるかもしれません。

雑誌TIMEでは、スターディ・リーダーシップ=「境界線の維持」+「感情の承認」と紹介されていましたが、「共感的に境界線を引く」といったように、境界線と感情をセットで考えることが有効かもしれません。

最後に

これからの時代、コンプライアンスなどにおける境界線の絶対性が増す一方で、イノベーションを生み出すための自由度の向上という、一見相反する事柄の両立が欠かせません。

新たな価値創出につながるシェアド・リーダーシップ型組織のための一つのスキルとして、「スターディ・リーダーシップ」は、1つの切り口になるのではないでしょうか。

個々が強みを発揮するシェアド・リーダーシップ型組織へ(リーダーシップ開発)
研修で学んだ内容を職場での主体的な行動につなげる研修設計の方法(研修転移)
この記事を書いた人
吉田 実
誰もが持っている「無限の可能性」と「目が輝く権利」。一人でも多くの人の「イキイキ」のために、これからも邁進していきます!
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